2008年3月18日火曜日

堤防の菜の花


きのう(3月17日)の午後、いわき市平中神谷の夏井川堤防を車で通ったら、摘み草をしている熟年夫婦がいた。私も前にやったことがあるので、すぐ分かった。「菜の花摘み」である。

川の堤防には結構、「野菜」が生えている。大水で種が流れ着いたり、風で種が飛ばされたりして、根づき、芽生えるのだろう。葉っぱを見ると、なぜかアブラナ科の植物が多い。カブのようであり、大根のようであり、からし菜のようでもある。ほとんど野生化してしまったから、食べてもあんまりうまくない(からい)のではないか。

それだけなら好みの問題だが、私はもっと違った理由で堤防の摘み草をやめた。川のそばの土地は大水をかぶることで上流から栄養が運ばれ、肥沃土になる。昔はそうだった。今は肥沃土どころか、重金属が堆積する汚染土のイメージが強い。「野菜」の根が重金属を吸収しているのではないか、という思いを断ち切れないのだ。

「たのしみは空暖かにうち晴れし春秋の日に出(い)でありく時」という、橘曙覧(たちばなのあけみ=幕末の歌人)の歌がある。熟年夫婦もそのクチだったに違いない。ただし、堤防の上に車が止まっていたから、「ありく(歩く)」のは車でということになるが。

堤防に「野菜」があった。菜の花を摘んでおひたしにしましょう、今夜――わくわくしながら花茎を摘んだに違いない。夕方、散歩しながら見たら、いくつも花茎が摘み取られていた。想像した通りだった。
春到来。
次はノノヒョロ(ノビル)を掘り取る人が現れることだろう。

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