2008年3月11日火曜日

白いアラゲキクラゲの子


3月11日の朝9時すぎ、いわき市平の石森山の某遊歩道を歩いた。いつものように草野方面から絹谷林道に入って、目的の遊歩道をさかのぼる。といってもざっと30分、沢を往復するだけだ。この時期の目当てはエノキタケである。

前日の10日、いわき地方は雨に見舞われた。雨上がりの翌11日、エノキタケが顔を出したかもしれないと考えると、いてもたってもいられなくなった。

立ち枯れのアカメガシワをチェックする。この2カ月余、いつも雨上がりに「定点観測」をしている木だ。小さなアラゲキクラゲがびっしりなっている。前からそうだから、それは採らない。

エノキタケはと見れば、かきとられたあとが生々しい。樹皮がはがされて、そこだけ白っぽくなっている。が、11日に採られたものではない。まだ寒いときにチェックしたら、樹皮ごとはがされていた。その名残である。

キノコ採りの純粋さと狡猾(こうかつ)さがそこにある。キノコの形・色、神出鬼没さに引かれつつ、食菌は自分で独占したい――という矛盾。今度もその矛盾を抱えながら、見に行ったのだった。

3~5ミリほどの、ボタン状の白いキノコが発生していた。アラゲキクラゲの幼菌である=写真。前に見ていた幼菌は少し大きくなって臙脂(えんじ)色に変わっていた。アラゲキクラゲは白(ソフトクリーム色に近い)からだんだん赤みを帯びて茶色になっていく、というのが、それで分かった。

人間の耳以上に大きくなるのもあるが、今の時期はそんなことはない。簡単に成長するものではないのだ。

<人間だって同じだよな>と自分に言い聞かせながら、車に戻ってラトブへ出掛けた。

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