2008年4月14日月曜日

アカヤシオを眺めながら


夏井川渓谷(いわき市小川町上小川字牛小川)のアカヤシオ、通称「岩ツツジ」の花が満開になった。磐越東線江田駅の上流、字椚平(くぬぎだいら)~牛小川の対岸の山が、谷筋から頂上まで点々と淡紅色に彩られ、壮大な点描画と化した。

13日、日曜日はあいにくの曇天。それがかえって観賞するには幸いした。晴れれば午前中はアカヤシオが逆光に入って見えにくい。光と影が薄い分、花の色がはっきり見てとれる。

さて、行楽客が来る前に(ということは、朝飯前に)うねを耕さなくてはならない――。朝、8時前。無量庵の庭の畑にいると、隣の広場がにぎやかになった。早々とやって来た行楽客が車を降りるなり「アララララ、きれいだこと」と感嘆の声を上げる。毎年見続けている人間にも、今年は格別の美しさだ。週末と色鮮やかなときとがちょうどいい具合に重なったのだろう。

朝飯前にうねを耕し終える。今日の仕事は終了とのんびりかまえていたら、三春ネギの苗に黒い虫が取り付いているのを見つけた。苗がいっぱい食いちぎられている。すくすく育っていたのがトラ刈り状態だ。アカヤシオの花どころではない。かがんで虫退治を始める。これを1時間おきにわが家へ帰るまで何回か繰り返す。ほかの虫もそうだが、そのつど虫が見つかるのだ。

私とは別に、この日、カミサンと同級生が2カ月に一度の食事会を無量庵で楽しんだ。まず二番列車でやって来た同級生2人を夫婦で江田駅まで迎えに行く。無量庵へ戻ると、私は畑で虫退治を再開し、3人は部屋でアカヤシオの花を眺めながらおしゃべりをする。そのうち庭へ出てなにやら立ったりかがんだりしていた。

そうこうするうちに昼の食事会になった。女性3人が台所に立ってなにやかややっていた料理がこたつの上にそろう=写真。

煮物とチキンロール、ポテトサラダは調理師の免許をもつ知人が作った。ほかに、畑から採ってきた白菜の菜の花のお浸し、庭で摘んだヨモギやカンゾウのてんぷら。「桜ご飯」というのも出た。桜茶にする代わりに、それを炊き立てのご飯にまぜたという。塩味が効いている。桜の花の香りも一緒にいただく。

ガラス戸越しにアカヤシオの花を眺めながら、夫婦2人ではやったこともない、なんとも質素でぜいたくな食事会になった。

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