2008年4月21日月曜日

左助はどこへ行った


翼をけがして北国へ帰れなくなったコハクチョウの最古参、「左助」の姿が見えない。

残留コハク4羽が、いわき市平塩から少し下流の平中神谷字調練場の砂地へ移動したのは4月15日。低気圧が接近して大雨に見舞われた金曜日(4月18日)には、まだ4羽が調練場にそろって休んでいた。

翌土曜日も雨は降り続いた。水位が上がって砂地が水没すると、コハクたちはやや下流に移動した。ヤナギの木の間越しに姿が見えたが、数は確認できなかった。

左助は年に一、二度、大水に流される。自力で調練場へ戻ることもあったが、近ごろは体力が落ちたらしい。河口で一夏を過ごしたこともある。その左助を、コハクの世話をしているMさんが軽トラに乗せて上流の仲間の元へ連れ戻したのが、コハクチョウが飛来する前の昨秋。

20日、日曜日午後6時前。街へ出かけるついでに車で堤防へ出た。夏井川の水はだいぶ引いて、調練場には砂地が戻っていた。コハクは3羽のみ。双眼鏡で確かめたら、左助の姿がない。流されたか。

今朝(4月21日)6時前、河口へと車を走らせた。と、河口までは目と鼻の先、沢帯(ざわめき)公園がある左岸の波消しブロックの上に、左助がいた=写真。やはり一気にここまで下って来たのだ。

ひとまず安心して堤防を戻ると、調練場でMさん夫婦が3羽にえさをやっていた。左助の話を聴く。

――左助はどうも単独行動が好きらしい。一緒にいても1羽、ポツンと離れて休んでいる。大雨で増水したから案じていたら、その通りになった。しばらくはこのままにしておいて、仲間と一緒になりたいような素振りのときは連れ戻そうと思う、という。

懸念されるのは、次の大水だ。夏井川河口が砂で閉塞されるのを防ぐため、河川管理者が横川に石を積んで流れを遮断した。それで今は夏井川の水がストレートに海へ注いでいる。「左助が海に流されなきゃいいのだが」。Mさんの新たな心配が始まった。

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