2008年4月29日火曜日

シロヤシオの気品



夏井川渓谷の春は忙しい。アカヤシオの花が散ると、シロヤシオ(ゴヨウツツジ)の花が咲き出す=写真。

4月初旬から点々と花をつけ、中旬以降は全山ピンク色の点描画となったアカヤシオだが、ほかの木々の芽吹きと同時に花を散らし始め、4月27日の日曜日にはほぼ姿を消した。

渓谷はぽやぽやとした新芽でパステルカラーに染まっている。一番「山のいのち」が感じられる時期でもある。その薄緑色の風景画にところどころ白い点々が見られるようになった。シロヤシオだ。

シロヤシオは毎年確実に花を付けるというわけではない。全山白い点描画になる年もあれば、まったく花が目立たない年もある。アカヤシオのようには安定していないのだ。

例年だと、ゴールデンウイークに入ってから開花する。5月の花と言ってもよい。ところが、今年は少々開花が早い。いや、アカヤシオもそうだが、全般に植物の開花が早まりつつある印象を受ける。地球温暖化の影響がここにも及んでいる――そう危惧せざるを得ない。
アカヤシオの花時には行楽客が殺到する。ゴールデンウイークには「花より観光施設」なのか、シロヤシオは行楽客の目にもふれずひっそりと咲いているだけである。それがいっそう私には好ましい。「アカヤシオの艶麗」のあとには「シロヤシオの気品」が際立つ。

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