2008年6月2日月曜日

河川拡幅工事始まる


平・神谷(かべや)地内の夏井川右岸で河川拡幅工事が始まった。

国道6号バイパス終点、夏井川橋下の河川敷がある日、ぽっかり開けて見通しがよくなった。何かある。対岸へ渡って確かめたら、河川拡幅工事を告げる看板が立っていた。工事のために樹木を伐採したのだ=写真。

「この工事では河川内に堆積した土砂を掘削することにより、台風や豪雨でも安全な川を整備する工事です。又、地域の皆様に愛される川づくりを進めますので、工事中のご協力をお願いします」。「この工事では」が「工事です」で終わる文章は日本語になっていない(ほんとうは「この工事では…川を整備します」だろう)。

発注者はいわき建設事務所で、3月21日から11月27日までの予定で、長さ408メートルにわたって1万3,261立方メートルの土砂を掘削する、といったことが看板に書かれてあった。

平市街地の東端、鎌田町から下流の夏井川は一度、拡幅工事が行われて広くきれいになった。それが、年を追うごとに中州ができ、岸辺に砂が堆積して木々が生えた。右へ大きく蛇行する塩と神谷の境界付近では左岸が深くえぐりとられて、立ち入り禁止のロープが張られた。

それだけではない。このところ、大水後の「置き土産」がかなり目立つ。一度は広がった川幅が狭まり、ヤナギが生え、ハリエンジュ(ニセアカシア)が生え、河川敷のサイクリングロード沿いにソメイヨシノが植えられて、いよいよごみが木に絡まるようになった、ということもあろう。

市民によかれと思ってやる公共工事が、自然にとってはストレスをためることになる。特に、海や川は水が激しく流動する。担当者は自然をコントロールできるなどとは思っていないだろうが、河川工学の限界が「堆砂」として川岸や川の中央に現れた。

一度工事したらそれで終わり。海や川がそうなら、こんな楽なことはない。「シジフォスの神話」と同じで、人間による改修と自然による改変とを永遠に繰り返していくしかない。ただ、そのあんばいが今のかたちでいいのかどうか、という疑問は残る。悩ましいところだ。

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