2008年6月26日木曜日

「菌類の宝庫」アカメガシワ


先日(6月13日)紹介した『カメレオンの悲しみ 斎藤孝遺稿集』を読み返していたら、こんな文章に出合った。「石森山では、アラゲキクラゲが目立って多い。本来は材質のやわらかいニワトコやアカメガシワの立ち枯れや倒木に良く生えるきのこであるが…」。

さすがに斎藤さんは菌類の発生木にも精通していた。アラゲキクラゲ・エノキタケ・ヒラタケが同居する立ち枯れ木があって、それがアカメガシワと知ったのはこの半年の間のことだった。

春も遅くなってアカメガシワから赤い新芽が吹いた。それで「アカメ」、漢字では「赤芽」。「カシワ」は「槲」=クヌギに似てどんぐりの生ずる喬木、と漢和辞典にある。

ネットの情報によれば、なかなか繁殖力の旺盛な木らしい。川岸やガケの崩壊地など、なんらかの要因で撹乱を受けたところに生える典型的な陽樹とあった。鳥が種子を運ぶため、思いがけないところから芽を出すことがある。種子の寿命も長く、森林を伐採すると土中に埋まっていたアカメガシワの種子がすぐ芽を出すそうだ。

先月(5月)、平市街地の裏山、石森山へ出かけて、アカメガシワの新芽をこの目に焼きつけた=写真。林道はおろか、林内の遊歩道でもあちこちでアカメガシワの新芽が見られた。それだけではない。葉が分かってみると、夏井川下流の河川敷、夏井川渓谷の崖崩れ跡地など、至るところでアカメガシワが繁殖している。

渓谷の上流はどうか。夏井川に沿って水源の大滝根山まで分け入れば、「アカメガシワ岸辺マップ」ができそうだ。

昔はアカメガシワの大きな葉に食べ物をのせたそうだが、そんなゆかしい伝統は、今はない。道路や植林地の管理者には厄介物扱いを受けているという。

私にはしかし、アラゲキクラゲやエノキタケやヒラタケを恵んでくれる大事な宝庫。定期的に石森山へ出かけて、アカメガシワの木をチェックするのを欠かさない。

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