2008年7月19日土曜日

クチナシの花咲く


いわき市の国道6号バイパス終点「神谷ランプ(本線車道への斜道)」に、照葉樹で構成された「草野の森」がある。平成12(2000)年3月、事業の完成を記念して、植物生態学者の宮脇昭横浜国立大学名誉教授の指導で、地元の小学生らがポット苗を植えた。それが活着して森らしい雰囲気をかもしだすようになった。

斜面にはタブノキ・シイ類などの高木、平地にはヒラドツツジやクチナシなどの低木が押し合いへしあいしている。花も地味ながら、ヒラドツツジから始まってマルバシャリンバイ、トベラ、ネズミモチと交代し、今はクチナシに出番が回ってきた。

しばらく緑色のつぼみでいたあと、ほぐれて白と緑色の煉り込み状態になり、一気に清楚な白い花を咲かせる=写真。純白の色はやがて汚れたように黄色く染まる。朝晩、そこを通るが、香りはそんなに強くない。クチナシの花の芳香は真夜中が一番強いという。

それで思い出した。まだ18歳の学生だったか、仕事に就いたばかりの22歳だったかは定かではないが、夜、平旧城跡にある恩師夫妻の家を訪ねると、庭の一角に闇から浮き出るようにして咲く白い花があった。すぐ強い香りに包まれた。そのとき初めて、それがクチナシの花だということを知った。

夫は画家、妻は音楽家という恩師夫妻から、さまざまなことを学んだ。武満徹、黛敏郎、菅井汲といった「同時代の芸術家」を知ったのもその家でだった。

クチナシの花は、生まれ育った阿武隈高地では見た記憶がない。それもあって、恩師夫妻の家で出合ったクチナシの花が強烈な印象として残ったのだろう。クチナシの花を見ると、渡哲也の歌よりもなぜか武満徹の音楽を思い出す。

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