2008年7月30日水曜日

堤防の土手に咲くオニユリ


朝夕散歩する夏井川の堤防には、実にいろいろな草が生えている。川寄りの堤外の土手はあまり草刈りが行われないために、スイバなどが茂りに茂る。民家が建ち並ぶ堤内の土手は畑と混在していることもあって、農家の人が実にていねいに草を刈る。

その堤内の土手に1カ所だけオニユリの咲いているところがある=写真。最近、そこだけ残して何度目かの草刈りが行われた。一昨日(7月28日)、すっきりした土手をバックに刈り残された草が花を付けているのを見て、オニユリと分かった。

堤防の上、車の通行が許されている道を走って確かめたが、オニユリが咲いている土手はそこだけだった。近所の人が植えたものに違いない。

堤防の花を見るにつけ、草を刈る人にはその人なりの美学のようなものがあるのを感じる。しゃにむに草刈り機でなぎ払うわけではない。秋にはヒガンバナが土手一面に咲き出す。そのときも花茎が出ていれば草刈り機をそっとずらす。

季節ごとに土手に生え、咲く花は異なる。一種の「すみわけ」だ。早春にはスイセンが咲き、やがて帰化植物のマツバウンランが群れ咲く。今はヤブカンゾウの花が終わりを迎えつつある。ニラもほかの葉に負けずに葉を伸ばす。

人間と同じで地中にはヒガンバナやオニユリや、その他さまざまな草たちの根が張りつき、絡み合い、ひしめき合っている。多少はストレスを感じつつも花開く時期を譲り合っているから、なんとかうまく生きていられるかのようだ。

セイタカアワダチソウは河川敷を占領し、川寄りの土手に群生している。ところが、民家が張り付く側の土手には一本もない。草刈りの有無が違いを生んだのだろうか。だとしたら、ことは簡単だ。昔からの里の景観は、人間が手を加え続けた結果として形成され、守られてきた。

オニユリの花から堤防の土手の1年をなぞっていたら、不意にセイタカアワダチソウのことが思い浮かんだ。土手のあちらにあっても、こちらにはないことに、気がついたのだった。

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