2008年8月8日金曜日

夏井川で遊ぶ子ら


朝から油照りになった立秋、8月7日の昼下がり。夏井川の堤防を車で行くと、子どもたちが水着姿で岸辺にいる=写真。見知った人が引率していたから、子どもたちに川遊びを体験させようと計画を立てたのだろう。

「川で遊ぶな」の立て札が散見されるようになったのは、たぶん小・中学校にプールが完備されてから。千に一つ、万に一つの川の事故が、先生や親の気持ちを委縮させ、子どもたちから大切な野性を奪うように作用した。

堰の上流をプール代わりにして泳ぎを覚えた団塊の世代からみると、「川で遊ぶな」の禁札は子ども時代におぼれ、助けられ、水の怖さと命の大切さを学んだ「川学校」の否定に通じる。内心、腹立たしい社会風潮ではあった。そのころにクレーマーが誕生したのだったか。

大人たちも地域の川に背を向けてきた。釣りや河川敷の畑仕事や朝夕の散歩以外で、川を意識して暮らす人間はどのくらいいるだろうか。

そこへ、夏井川と遊ぶ子供たちを見た。小学校低学年の男女十数人がコンクリート護岸に寄りかかり、水中に小魚をすくう網を入れたり、水に触ったりしている。カラ梅雨だったために川の水量が減って、ところどころ川床が見える。川の中に入っても心配はない。が、学校やPTAに気を遣って水に触れる程度の控え目な川遊びにとどめたようだ。

この蒸し暑さに、ときどき中学生や高校生が川の中でジャブジャブやっている。川だから浅瀬だけでなく淵もある。が、中学生以上ともなれば身の危険には自己責任で対処しなくてはならない。そして、それは昔はごく当たり前の光景だった。

小学生の中には、生まれて初めて自分のふるさとを流れる夏井川の水に触れた、という子がいるかもしれない。夏井川がその子の心の中にも流れるかどうかは、これからのかかわり次第だが、この日、川から心に潤いをもらったことだけは確かだろう。もっと子どもたちを川へ!

0 件のコメント: