2008年8月20日水曜日

膨張するサギの集団ねぐら


数羽、あるいは十数羽。曇天を背に現れたかと思うと、急にキリモミ状態になりながら舞い降りる。ヒラヒラ風にあおられながら落下する白い紙のようでもある。川岸のねぐらへ帰って来るサギたちの、ねぐら上空でのぶきっちょな着水(木)態勢だ。

夕方5時過ぎ。下流から、上流から、いや四方八方からサギたちが現れる。ねぐら入りする時間が早くなったのだ。 それはそうだ。                              
日の出・日の入りを目安にする鳥たちの時間と、おおかたが時計に支配される人間たちの時間とでは、本質的な違いがある。かたや絶対的時間、かたや相対的時間。日が短くなるにつれて鳥たちはねぐら入りする時間が早くなるが、人間は暗くなろうと明るいままだろうと、同じ時計の時間でしかねぐら入りができない。

平山崎の夏井川右岸、広い河川敷を背後にもつ水辺の竹林がサギたちのねぐらだ。毎年そこがねぐらかどうかは分からない。が、8月に入って数が増え始め、18日には200羽を超えた=写真。浅瀬にかたまっているのと、竹林に散らばっているのと、どちらも日を追って増えている。

そこに残留コハクチョウが混じっているはずである。横に長いのがコハクチョウ、縦に長いのがダイサギ・チュウサギ・コサギたち。夕方は白一色になるので、区別がつかない。

19日は朝7時近く、いつものように堤防を歩きながら見ると、少し下流の中州にコハクチョウの「左七」と「さくら」が首を丸めて休んでいた。2、3羽を除いてサギたちの姿はなかった。

同じ日の夕方、車にカミサンを乗せて帰宅途中、ねぐらを教えると「白いハンカチが垂れてるか白い果物がなってるみたい」。                             
そのときふと、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」が思い浮かんだ。毎日注文を受けて食料の鳥を捕りに来る「赤ひげの人」、食べやすく押し葉にされたサギやガン…。サギは「地べたにつくかつかないうちに、ぴたっと押へちまふんです」だそうだ。

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