2008年8月17日日曜日

三春ネギを伏せ込む


「三春ネギ」を「曲がりネギ」にするには、8月に「やとい」という伏せ込みをする。葉鞘を寝かせるように、溝の壁を斜めに切って植え直すのだ。半数近くは細すぎて消滅したか、ネキリムシに葉鞘をちぎられたかしたが、根が残っていればそれも掘り起こして「やとい」の列に加える。むろん、一度葉の消えたネギがどこまで成長するかは分からない。

「やとい」は、地下水が高かったり、作土が少なかったりする土地でネギの白根(葉鞘)部分を長くするために、土地の人が編み出した方法だ。須賀川の「源吾ネギ」、郡山市の「阿久津ネギ」がそうだし、仙台市その他にも「曲がりネギ」がある。

土曜日(8月16日)夕方、無量庵に着いてすぐ「やとい」の作業に取りかかったら、小一時間で済んだ。ほんとうは日曜日の早朝に予定していたのだが、雲行きが怪しい。前線が停滞して雨になりそうなので、予定を早めて動いたのだ。あっけないと言えばあっけない。本数を数えたら80本もない。

ネギのうねが2列空いたので、あとで秋野菜用にうねを作り直すことにする。限られたスペースを使い回す家庭菜園では、いつもこんなものである。ネキリムシの被害さえなければ、消費するネギの半年分くらいはカバーできたはずだが、それも今となっては「狸の皮算用」にすぎない。

案の定、夜になると雨がぱらつき出した。小雨程度なら、日曜日朝には白菜の種まきができる。白菜の種まきを先にやるか、「やとい」を次の週にやるか、8月の初めには決めかねていたが、白菜のうねに石灰をまき、肥料をすき込んでおいたので、どちらを先にやっても構わないのだ。

ゆったりした気持ちで晩酌を始めたとき、ふと白菜の種袋を持って来ていないことに気づいた。忘れないようにと、わざわざ何日も前から自宅茶の間のテーブルに用意しておいたのが、かえって裏目に出た。しかたない、白菜はポット苗にしよう。そのための土をわが家に持ち帰るのだ。

白菜にしろ大根にしろ、いわき地方では月遅れ盆のころに種をまく。今までは下準備がずれこんで種まき時期が遅れ気味だったが、今年は早めに動くことにした――のはいいが、やはりどこか抜けてしまう。ポット苗を定植した方が歩留まりがいい、と考えることにした。

今朝(日曜日)、「やとい」をした三春ネギを見ると、元気な葉がもう立ち上がっている=写真。ネギの生命力にあらためて感心した。

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