2008年9月9日火曜日

草の花に群がるハチたち


夏井川渓谷(いわき市小川町)の集落の1つ、牛小川にはわが週末の埴生の宿・無量庵を含めて家が10軒ある。無量庵の隣にも家があったが、春に解体された。家から谷に続く杉林も伐採された。

杉林跡の斜面が今、太陽の光を浴びてヤブガラシの緑に覆われている。黄色い粒々の花が咲き始めたら、ハチたちがやって来た。キイロスズメバチやクロスズメバチの仲間、ベッコウバチの仲間。そして、小型のシジミチョウたち。

無量庵の軒下にできたキイロスズメバチの巣はサッカーボール大に成長した。すぐそば、カエデの葉裏にできたアシナガバチの巣は大雨に遭って消滅した。それに比べたら、キイロスズメバチの巣は優雅で堅牢、芸術的でさえある。

その巣を支える働きバチたちが、せっせとヤブガラシの群落と巣の間を往復している。朝5時。外はまだうす暗い。起きぬけに巣を見ると、キイロスズメバチがもう動き出している。夕方、うす暗くなってもキイロスズメバチは飛び続ける。人間と違って昼寝などはしないのだろう。土砂降りでも仕事を休まない。雨の日も風の日も働き続ける宿命なのか。

さて、ハチが群れているのを分からずにヤブガラシの葉を引っ張ったり刈ったりしたら、ハチの怒りを買うかもしれない。秋にハチに刺される事故が急増するのは、こうした予想もしない場所でハチと遭遇したときだろう。神社や山道の土手の草を刈っていたら刺されて死んだ――そんな事故がテレビや新聞で報じられる。

無量庵の庭の草も、梅雨時に一度刈っただけだから伸びに伸びている。家の前の草は見苦しいので大鎌で払ったが、畑の周辺、下の空き地は人に頼むしかない。ハチの習性を考えれば、9月は草刈りを避けたい。すると、無量庵はまますます草に埋もれた家になる。

集落でふだん留守なのは無量庵ともう1軒。よく分からないが、心霊スポットのうわさが飛ぶのはこんなところからか。

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