2008年9月28日日曜日

ヒラガニの逆襲


土曜日(9月27日)の早朝散歩は少々こたえた。西高東低の気圧配置になったために、冷たい北西風が阿武隈の山々から吹き下ろして来る。夏井川の堤防には遮るものがない。「赤井岳颪(おろし)」をまともに受けて前かがみになりながら歩いた。そのあとすぐ、平・沼ノ内で開かれている「土曜朝市」へ出かけた。

朝飯前の食料調達を兼ねながら、出店者や買い物客とおしゃべりをする。モノを買うだけではない、見知らぬヒト同士が言葉を交わしながら笑い合う光景が好ましいから、毎週、土曜朝市への「アッシー君」を務める。

今回は野菜3、魚介1、地豆腐1、パン・炊き込みごはん1と、6ブースに品物が並んだ。風が冷たいので車の中にいると、魚介ブースで「ワッ」と奥さん連が声を出した。見ると、魚屋さん(郷ヶ丘にある「歩ら里」のマスター)の左手の指にカニがぶら下がっている。

ヒラガニだという。近くの魚市場から仕入れて来たばかりで、カニたちはまだ脚やはさみをモゾモゾやっている。はさみを開けて待ち構えているカニに指が触れたのだろう。薬指だったか中指だったかをガッチリはさんで離さない。

隣の野菜ブースの男性が、両手で袋を裂くようにはさみをこじ開けると、やっと指がはずれた。指にはくっきりとはさみの跡があった。無理やりはずそうとすると皮膚が破けて血が流れるところだが、そのへんは浜に近い人たちである。「事件」が解決すると、「カニも必死だわ」、誰言うともなく声がわいて笑いが起きた。

味噌汁にするとうまいそうだ。そのうまさを知っている奥さん連は「カニばさみ事件」などどこ吹く風、手づかみでひょいひょいカニを袋に入れてゆく=写真。魚屋さんは「カニと戯れてください」と言いながら、しばらくブースから離れていた。「ヒラガニの逆襲」は思いもよらないことだったのだろう。

魚屋さんには悪いが、こんな場面に遭遇するとますます「アッシー君」をやめられない。

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