2008年10月1日水曜日

小名浜測候所が無人に


小名浜測候所がきのう(9月30日)で有人観測を終了し、きょう、無人の「小名浜特別地域気象観測所」として再スタートした。長年、同測候所職員の目と耳による生物季節観測データを重宝してきた人間としては、寂しさと同時に割り切れなさが残る。

同測候所の生物季節観測は、植物が延べ18種目、動物が15種目だ。初霜・初氷・初雪などの観測も手がけた。

植物季節観測はツバキの開花(平年値1月17日)から始まる。これは当然ヤブツバキだろう。続いて梅の開花(平年値2月18日)、タンポポの開花(同3月16日=ニホンタンポポだろう)、ソメイヨシノの開花(同4月8日)・満開(同4月14日)ときて、途中、延べ11種目の観測をはさんでイロハカエデの紅葉(同11月25日)・落葉(同12月12日)で終わる。

動物季節観測はウグイス初鳴(平年値3月17日)、モンシロチョウ初見(同4月6日)、ツバメ初見(同4月11日)、ホタル初見(同6月28日=ゲンジボタルだろう)などのあと、5種類のセミの初鳴を観測し、エンマコオロギ初鳴(同8月16日)、モズ初鳴(同9月26日=いわゆる高鳴き)で終わる。

同測候所は9月23日のモズ初鳴で生物季節観測を終えた。イチョウ黄葉(平年値11月12日)と落葉(11月29日)、イロハカエデの紅葉・落葉は観測できずじまいとなった。

小名浜測候所でのソメイヨシノの開花観測は「東北に桜前線が到着した」ことを意味する。誰か、たとえば最寄りの小学校の理科クラブなどが観測を引き受けてくれないものか。今もあるかどうか、昔は学校の校庭の一角に「百葉箱」があった。その延長線上で子どもたちがソメイヨシノを観測し、開花を発表する。専門機関の発表とはまた違った意味合いで楽しい行事になるのではないか。

子どもじみているといわれるかもしれないが、生物季節観測に関しては小名浜測候所の職員に負けていられない、という思いがあった。ソメイヨシノの開花で後れをとっても=写真、ウグイス初鳴、ツバメ初見では勝った、などと一喜一憂をしていたのである。

いずれにしても、いわき(小名浜)での生物季節観測の公式データはこれで途切れる。いわきの「自然と人間の交通」を見続けたいと思っている人間には、かえすがえすも残念でならない。と同時に、これまでの業務については感謝の杯を献じたい、そんな気持ちでいる。

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