2008年11月5日水曜日

ハチの巣がもぬけの殻に


いちだんと空気が冷たくなってきた。

きのう(11月4日)の早朝は晴れて風もない。「西高東低」の冬型の気圧配置になって西風が吹き荒れるのは北の方か、などと思っていたら、10時ごろからうなり始めた。

ビュービュー鳴る風の音を聞きながら、家で仕事をする。外で仕事をする人は体がかじかんだことだろう。午後も、夕方も、夜も風が吹いて、玄関の戸が時折、ガタッ(ピシッ)と鳴った。

軒下のアシナガバチの巣も、秋冷にさらされて一変した。1カ月前には巣が見えないほど群がっていたハチたち=写真=が、2、3日前には数えるほどしかいない。急に姿が消えて、きのうの朝は1羽だけがどこからか飛んで来て、すぐ去った。

週末を過ごす夏井川渓谷の無量庵の軒下にできた、バレーボール大のキイロスズメバチの巣も、文化の日の3日に見ると出入りするハチの姿はなかった。空き巣になったらしい。

ソフトボール大のときに営巣が分かった初夏から静かに「同居」し、月遅れ盆に息子たちが「合宿」したときにも手を出さないよう注意をした。一度刺されて救命救急センターのお世話になったカミサンも、用心して近づかなかった。おかげでスズメバチを刺激せずに済んだ、というわけだ。

小さなアシナガバチの巣はともかく、スズメバチの巣はいずれ軒下から切り離して「家宝」にするつもり。50年以上も前だが、阿武隈高地の山奥、母方の祖母の家の神棚に巨大なスズメバチの巣が飾ってあったのを覚えている。自分の体の小ささを差し引いても直径50センチくらいはあったのではないか。                     
陶芸の世界でいう「練り込み」、それは陶芸家がスズメバチの巣から学んだ技法に違いない。後先をいえば、ハチが先に開拓した技法なのだから。見事な「練り込み」の模様を、形を、その記憶を、今度はよちよち歩きの孫に伝えたい、という思いがある。

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