2008年11月18日火曜日

カエデの枝を切ってあげる


夏井川渓谷の「紅葉ウオーキングフェスタ」(11月16日)は、関東森林管理局の阿武隈高地森林生物遺伝資源保存林の中で行われた。生活慣行として利用できる地元の人以外は、ふだんは立ち入りが制限されている。水力発電所の導水路に沿って巡視路を設けている東北電力の協力もあって、今回初めて一般の人の「森歩き」が実現した。

折り返し地点での環境美化(ごみ拾い)を兼ねたイベントであるからには、保存林の動植物に対してストレスを与えないようにしなくてはならない。ウオーキングのスタートに当たって、主催者が植物や菌類の採取禁止を告げたのは当然だ。第1回の結果が悪ければ2回目はないのだ。

そういうイベントの趣旨を理解して参加した人たちである。カエデその他の紅葉・黄葉などを間近に見ながら、案内人(地元の住人)の説明に素直にうなずいていた。せめて記念にと、足元の落ち葉を拾うグループがいた。それはそれでゆかしい光景だ。赤いカエデの葉が人気の的だった。

森に入ってみると、まだ葉が青々としたカエデがある。真っ赤に染まった対岸のカエデが見える。アマチュアカメラマンが吸い寄せられるように集まるカエデもある=写真。その見事な赤がよく見えた。

カエデはしかし、1枚1枚をよく見ると傷だらけだ。虫に食われたり、裂けたり、色が汚れていたり…。春のアカヤシオの花もそうである。間近に見ると風雨にさらされて薄汚れている場合が多い。室生犀星のふるさとと同じく、花も、紅葉も遠くから見るものらしい。

朝9時に受け付けが始まったウオーキングフェスタは午後2時に終了した。参加者は雨具をまとい、傘も手にして森に入った。が、私はフード付きのアノラックを着たものの、防水加工はされていない。帰路にフードをかぶると、たまった雨水が頭を濡らした。

イベント終了後、会場隣の無量庵へ戻る。カミサンがNPO法人「ザ・ピープル」のもとに寄せられた古着などを、玄関や縁側に置いてバザーを開いた。カミサンの同級生や知り合いが協力した。ウオーキング参加者も立ち寄った。

ウオーキングの途中、カエデの落ち葉を大事そうに拾ったグループも来たので、無量庵にあるカエデの若木の枝を切って進呈した。見事な紅葉とはいえないが、黄色く変わったカエデの葉をまとった枝を、喜んで持ち帰った。

私もわが家に持ち帰った。しかし、水の吸い上げがよくなかったのか、カエデの葉は翌日(11月17日)には乾いて丸まってしまった。枝を切って持ち帰っても一瞬。しっかり谷間で目に焼き付けるのが最良の紅葉狩りのようだ。

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