2008年11月21日金曜日

花の絶えない「草野の森」


いわきの平地の「ふるさとの森」(潜在植生)は照葉樹林。その若い森が平の国道6号常磐バイパス終点にある。この欄で何度か紹介している「草野の森」だ。

朝晩の散歩の途中に立ち寄るスポットなので、何か変わったことがあると「?」となる。広場と森の境には灌木が植えられてある。花が咲いていればすぐ気づく。花を見てないのに花びらが散っていた。「?」

立ち止まって観察を始める。体を右に左に傾げて様子をうかがうと、膝くらいの高さにつぼみをいっぱいつけた灌木があった。赤い花を開き始めていた。標識盤で確かめたら「カンツバキ」である。カンツバキはサザンカとツバキの交配種、冬中、紅色の花を咲かせる、と説明文にあった。

小学3年生の疑似孫が、前にツバキとサザンカの花の違いを教えてくれた。ツバキは花の形を残したまま落ちるが、サザンカは花弁がばらばらになって落花する。サザンカの血が濃いのだろう。

よく見たら森の内側にもカンツバキの花が咲いている=写真。1週間前、ここで写真を撮っていたとき、声をかけてきたおじさんの話を思い出した。「前はサザンカがあったのに、なくなった」。ほかの木が育ってカンツバキが見えにくくなった、ということではないのか。

照葉樹の森は常緑樹なので1年中緑が絶えない。が、木々の花は意外と地味だ。そのなかで、色鮮やかな花を咲かせる灌木が人目につきやすいところにある。

春はヒラドツツジ。夏はクチナシ。秋はヤツデ。冬はカンツバキ。毎日「草野の森」を見ながら散歩して分かった、宮脇昭横浜国立大学名誉教授の思想。市民の慰安、親しみのために、1年中花が咲いているように森を設計したのだ。

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