2008年11月22日土曜日

「初霜」観測


きのう(11月21日)の朝、外へ出ると車のフロントガラスが白く曇っていた。「初霜」である。空は雲ひとつない快晴。放射冷却が進んで、この冬一番の冷え込みになった。

室内にいても首筋がひんやりする。早朝散歩にはなにか1枚、首に巻かないといけないようだ。マフラーが見当たらないので、アスコットタイを首にぐるぐる巻いて出かけた。吐く息が白い。耳がひんやりする。

住宅街を過ぎて空き地へ出ると、草むらが霜で白くなっていた。夏井川の堤防の土手もうっすら雪をかぶったように白い。南斜面の霜は朝日が当たるとすぐ消える。散歩中のおばあさんが畑のブロッコリー=写真=を見て、びっくりしたように言った。「大した霜だー」

去年までは小名浜測候所が「初霜観測」を発表した。が、この秋、測候所は無人になった。去年までのデータでいえば、小名浜測候所での初霜は平年値が11月11日、去年は平年より6日遅い11月17日に職員が初霜を観測している。おととしは11月25日。今年は非公式というか私的というか、11月21日にいわきで「初霜」を観測したことにする、しかない。

きのうの朝、テレビがローカルニュースで「今朝、福島市で初霜・初氷が観測されました」と伝えた。福島地方気象台があるから当然、職員が肉眼で確かめる。市民もそのおかげで歳時記的感覚を味わえる。いわきはこれがなくなった。なんだか季節のメリハリがぬるくなった感じである。

植物の開花・満開・発芽・黄葉・紅葉・落葉、動物の初鳴・初見といった生物季節観測は人間の目と耳が頼りだ。四季折々、自然と向き合い、自然を活用して暮らしてきた伝統の遺伝子があるから、市民は測候所の発表を受けて季節の移り行きを実感できた。自然と人事を網羅した俳句歳時記を読むように。それがなくなったのだから、情緒面での損失は大きい。

測候所が無人になった以上、私的でいいからだれかが生物季節観測を続け、データを蓄積するしかない。そんな意識を持っていわきの自然と向き合う市民が増えるといいのだが。

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