2008年11月29日土曜日

電信柱のカラス除け


半年前のことだが、なにげなく家の近くの電信柱を見上げたら、てっぺんの横木に黒いお玉の「風力計」のようなものが付いていて、クルクル回っていた=写真。何だろう? その先の電信柱にも、その先の先の電信柱にも付いている。

朝晩の散歩コースのうち、家の近所の旧国道沿いにある片側の電信柱19本についてチェックした。すると、ある所に集中して5本、反対側に1本、計6本に「風力計」が付いていた。風のある日は、それが全部クルクル回っている。

ネットで調べてもさっぱり分からない。お手上げだ。知り合いの電力OB氏に会ったら聞いてみよう。究明を中断し、時々見上げては「何だっぺ、何だっぺ」を呪文のように繰り返す。そのうえ、電力OB氏に会ったときに限って「風力計」のことを忘れている。

おととい(11月27日)、私も所属しているいわき地域学會の役員会が開かれた。電力OBのSさんと話をしているうちに突然、「風力計」のことを思い出した。「何ですか、あれは」。Sさんにも分からない。調べてみる、ということになった。

翌日の11月28日午前、Sさんがわが家へやって来た。古巣の東北電力いわき営業所へ行って聞いてきたという。「カラス除け」だ。Sさんが現役のころにはなかった工夫である。

電力会社はカラス被害に悩まされている。電力マンがカラスを観察した結果、敵は電信柱の一番高い所に止まることを突き止めた。針金をくわえて止まると感電・ショートし、辺り一帯が停電する。てっぺんに止まらせないためにはどうするか。その答えが「クルクル回るものを取り付ける」だった。

「カラス除け」と聞いて、集中的に取り付けられているわけも推測できた。生ごみである。道をはさんで市・県営住宅が密集している。早朝、カラスが飛来して集積所のごみ袋をつつき、生ごみをあさるのだ。近くの電信柱はカラスの格好の休み場。で、生ごみ散乱の苦情や停電被害があったのだろう。

車で出かけたときに、青信号を待ちながら周りの電信柱を観察していることがある。その結果をいえば、わが近所の例は極端に近い。よそでは今のところ見かけたことがないのだ。

「カラス除け」と分かった以上は、仮説も立てやすい。生ごみと関係する――という視点で、昼間、飲食店街を巡り歩いてみてもいい。ともかく半年ぶりに「のどにささったとげ」が取れた。スーッとした。

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