2008年12月29日月曜日

「冬水田んぼ」のコハクチョウ


先日、匿名さんから情報をいただいた(「コメント欄」参照)。いわき市平の絹谷の耕土にコハクチョウが20羽、さらに十数羽、2つのグループに分かれて羽を休めていたという。

「えさやり中止」以来、コハクチョウが各地の田んぼで目撃されている。平・中神谷の田んぼでも見た。「白鳥おじさん」のMさんによると、夏井川からひと山向こうの平・高久の田んぼにもいるらしい。朝、塩の夏井川から河口の方へ、あるいは山の方へと飛んで行くグループがいる。それぞれにえさ場を持っているのだろう。

コハクチョウが飛来するいわき市の川は2つ。鮫川と夏井川で、数の上では圧倒的に夏井川が多い。そのため、夏井川では分散行動が起き、飛来地が3カ所になった。平・平窪をキーステーションに、上流の小川町(三島)と、下流の平・塩~中神谷でコハクチョウが羽を休めている。

山で雪になった雨上がりの午後、平窪の田んぼ道を通った。道沿いの田んぼが「冬水田んぼ」になっていた。そこへコハクチョウ(オオハクチョウが交じっていたかもしれない)が舞い降り、盛んに稲株をつついていた=写真。くちばしの付け根の黄色模様が泥で見えない個体や、額まで泥だらけの個体がいた。

「ピチャ、ピチャ、ピチャ……」。100羽以上が一斉にくちばしを動かすから、さざ波のような音が絶えず響いている。これが、コハクチョウ本来の採餌行動なのだろう。

塩では対岸(山崎)の河川敷に上がり、生えている草をついばんでいるグループを見かける。朝、Mさんのやるえさに近づかないグループもいる。えさをまくと寄り集まるのがほとんどだが、そのグループだけはポツンと離れたままだ。野性を固持している姿がすがすがしい。

寒さがいちだんと募って、「コハクチョウの数が多くなってきた、1月がピークだね」とMさんは言う。Mさんは命をかけたえさやりの帰り、私が堤防の上を歩いていると、必ず軽トラを止めて一言二言、声をかけてくれる。それでコハクチョウ情報には随分明るくなった。

河口にいると思っていた残留組最古参の「左助」が昨日(12月28日)、サケやな場下流の残留2番手「左吉」のところへ上がって来た、という。「オレも助かる、河口さ行がなくていいから」。あとはやなをはさんで目と鼻の先にある、塩の大群に合流できるかどうか。そこには残留3番手の「左七」や、飛べるようになった「さくら」もいるはずである。

Mさんは、「左助」が「左吉」をリードしてやなを越えることを願っている。が、「左助」より元気な「左吉」が踏みとどまっている限りは、そうなる保証はない。「左助」にはいつも驚かされる。

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