2009年1月14日水曜日

湯川隆彫刻展


湯川隆彫刻展がいわき市小名浜の「ギヤラリーアイ」で1月26日まで開かれている。私も関係しているいわき地域学會の美術賞受賞記念個展である。初日10日のオープニングパーティーに顔を出した。

湯川さんは47歳。いわきに居を構えたあとイタリアへ留学し、近年はコロンビアに長期滞在をして制作したり、アメリカや韓国で作品を発表したりと、国内外で仕事を展開している。

案内状に、いわき市立美術館の佐々木吉晴副館長が「国外での活動は『めざましい』を通り越して『凄まじい』の一語に尽きる」と評している。会うと、どこそこから帰って来た、どこそこへ行く、という話になる。制作の場が世界にある、いわきでは珍しい存在だ。

何年か前、朋友の絵描きの個展会場で知り合った。私よりは一回り以上若い。だから「テラコッタと木を組み合わせた人体表現に取り組んでいるこの数年」(佐々木副館長)の彼の作品しか知らない。その作品に、妙に引かれる。

がさついた心が彼の作品の前に立つと、少し湿り気を帯びる。乾いた細胞の内部がうるおってきて、敬虔な気持ちになる。「癒される」という言葉はできれば使いたくない。が、それに近い状態になるのだ。カミサンは作品(もちろん、ごくごく小さいもの)を孫の「守護神」にしたい、なんてことを言う。

舟越桂さんの木彫作品はテレビと活字媒体でしか知らない。それを承知でいえば、湯川さんの木とテラコッタの作品は、舟越さんと「親」を同じにする「兄」と「弟」のような関係ではないのか。そんなふうに思ったりする。

清楚な女性像のなかに、「夜警2009」=写真=と題された男性像がある。私がすぐ連想するのは「夜警国家」=「小さな政府」だ。その反対概念は「福祉国家」=「大きな政府」。現実政治への、湯川さんなりの異議申し立てなのか、などと考えたりする。湯川さんは結構、非日本的な大きな概念を作品にしのび込ませる。

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