2009年2月14日土曜日

レース鳩の末路


2月初めのことである。夏井川渓谷(いわき市小川町)からの帰りに、ついでだからと平市街にほど近い石森山へ寄った。遊歩道に足を踏み入れるやいなや、森の奥へ飛び去る大きな鳥がいた。

遊歩道に沿ってせせらぎが流れている。そこで水を飲んでいた?なんてことはありえない。獲物を捕らえて食事をしていたのではないか。目を凝らすと、せせらぎに鳥の羽がいっぱい引っかかっている。その上流、水際に羽が散乱し、中央に両翼をたたんだ状態で絶命している鳥がいた。すでに上半身は食べられてない。

左足にみかん色の足環、右足に紺色のチップが付いている。レース鳩だ。すると、飛び去った鳥はオオタカか。空中でレース鳩を捕らえ、せせらぎに舞い降りて食事中だったのだ。人間がやって来たためにやむなく獲物を放棄した、というところだろう。

実はその日、夏井川渓谷の遊歩道にも鳥の羽が散乱していた=写真。こちらはきれいに食べられたあとらしく、翼も足も残っていなかった。小鳥らしい。捕食者はタカの仲間と思われるが、よくは分からない。

レース鳩と言えば、18年前の秋のことを思い出す。降りしきる雨の中、双葉郡川内村からいわき市へ入る山岳ルート(国道399号)を車で走行中、一番高い峠で衰弱していたレース鳩を保護した。足環から茨城県日立市の飼い主と連絡が取れた。翌々日には鳩を引き取りに来たが、あまりに遠距離だと「そちらで処分してくれ」となるのだとか。

このとき、飼い主は人を介して青森県の南端から78羽のレース鳩を放した。早いのでは4時間後に鳩舎へ戻った。結局、18羽が帰らずじまいだった。私が保護したときは放鳥から丸4日たっていた。若鳥のためにいきなりの遠距離レースは無理だった、ということである。

猛禽に襲われる。衰弱して地面に降り立てば獣に襲われる。レース鳩は人間の都合で過酷な運命を背負わされた。

石森山でオオタカのえじきになったレース鳩はその後どうなったか。翌日確かめに行ったら、むしりとられた羽以外は影も形もなかった。オオタカが舞い戻ったか、血のにおいをかぎつけて獣が現れたか。せせらぎとは反対側の遊歩道の草が一部、血で染まっていた。イタチかテンが持ち去ったに違いない。ときどき森はちらりと鮮烈なドラマを見せる。

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