2009年3月13日金曜日

月夜のハクチョウ北帰行


ゆうべ(3月12日夜)11時近く、わが家の上空をハクチョウが鳴きながら通り過ぎた。慌てて戸を開けたが、既に姿はなかった。十六夜の月が南天近くで煌々と輝いていた。月明かりを頼りに北へ飛び立ったのだろうか。

同じ日の夕方。翼をけがして飛べない「左助」と「左吉」がいる夏井川(平中神谷字調練場)へ寄ったら、12羽ほどのコハク・オオハク混成組が盛んに声を出しながら首を上げ下げしていた。「左助」も「左吉」も珍しく「コー、コー」と鳴いて応じている。今までにない掛け合いだ。

飛び立つために気持ちを1つにしているのだろうか。砂州のはずれを迂回するようにしながら接近し、しばらく様子を見ていると、いよいよ首の上下動と鳴き声が早くなる。と次の瞬間、一斉に水をけり、羽ばたきを始めて、しぶきを散らしながら飛び立った=写真

混成組が飛び立つと、「左助」と「左吉」は急に鳴きやんだ。こちらが逆にへこむくらいの沈黙ぶりだ。掛け合いはエールの交換、別れのセレモニーだったか。実際はそうではなくとも、2羽の様子を見ているとそんな思いにとらわれる。

さて、いわき市夏井川白鳥を守る会のHPをのぞいたら、平中平窪では2月末に100羽ほどいたハクチョウが3月に入るとすぐ19羽に減った。えさをもらえないこともあって早々と北へ旅立ったのだろう、という。

その時点で4キロ上流の小川町三島には70羽、6キロ下流の平中神谷には200羽ほどが羽を休めていた。小川も中神谷もえさをくれる人がいるから、のんびりしたものだ。とはいえ、北へ旅立つためのカウントダウンが始まった。

どういうわけか私には、ハクチョウは夜間、満月のころに北を目指して飛んで行く、といったイメージがある。実際、夜も飛ぶ。となれば、月明かりが最大になる満月のときほど飛びやすい夜はない。

で、十六夜の月が輝く深夜、コーコーと鳴きながらわが家の上空を通過した。夏井川河口のヨシ原をねぐらにしている一団の北帰行かと、少し感傷的な気分になった。

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