2009年3月27日金曜日

「親知らず」を抜くの?


なんとなくうずいていた奥歯が、物を噛むと痛い。歯茎も腫れている。土曜日(3月21日)の朝、街へ出たついでに歯科医院へ駈け込んで、一番早い空き時間を予約した。その日の夕方には治療が始まった。長いつきあいの大先生はいなかった。

右上一番奥の「親知らず」が、土台がなくなってぐらぐらしているという。「炎症がおさまったら抜きましょう。それが済んだら別の虫歯も治療しましょう」と若先生がいう。ついにきたか。渡されたチェックシート=写真=を眺めて少し憂鬱な気分になった。

2回目に行ったら、大先生が担当だった。「親知らず」を抜くしかない症状であることに変わりはない。が、「抜くのはいつでもできる」。いつものペースになってきた。

年齢とともに歯も弱くなる。できれば抜歯しないで残したい――大先生が考えても、無理なものは無理、そういう歯が出てくるのはしかたがないことだ。が、何年か前、「90歳になっても8割は自前の歯でいられますよ」とおだてられた。そういうことだけはしっかり覚えている。その幻想を生きたいのに、現実は厳しい。

虫歯になって治療し、金属を詰めた歯が何本かある。それで治まらなくなった、口にも老いの波が寄せてきた、という実感――。「親知らず」は乳歯に代わって生えてくる永久歯のうちでも、特に遅く生える。成人後に生え始める例が多いという。40年ほどは食べ物のすりつぶし役を担ってきた。

抜かれると分かると、まだ生きて私とつながっている「親知らず」がいとおしい。最後の仕事をさせなくては、とはしかしいかない。噛めば痛みが頭にまで突き抜ける。

抜歯したあとの歯茎は、食事はどうなるのだろう。抜いたままでいいのか、義歯を入れるのか。虫歯の治療とは全く異なる未知の領域への暗欝が続く。しょっちゅう歯医者へ通っているカミサンからみたら、ばかばかしい悩みには違いないが。

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