2009年5月23日土曜日

もっと長居してくれよ、5月


今年の5月はしのぎやすくさわやか、という点では平均点をはるかに上回っているのではないか。黄金週間後半の好天、10日、20、21日のいかにも初夏らしい陽気。後年、「平成21(2009)年の5月は素晴らしかった」などと懐かしむようになるかもしれない。

で、この5月、ときどき草野心平の詩「五月」を思い出していた。

すこし落着いてくれよ五月。
ぼうっと人がたたずむように少し休んでくれよ五月。

樹木たちが偉いのは冬。
そして美しいのは芽ばえの時。
盛んな春の最後をすぎると夏の。

濃緑になるがそれはもはや惰性にすぎない。
夏の天は激烈だが。
惰性のうっそうを私はむしろ憎む。

五月は樹木や花たちの溢れるとき。
小鳥たちの恋愛のとき。
雨とうっそうの夏になるまえのひととき五月よ。
落着き休み。
まんべんなく黒子(ほくろ)も足裏も見せてくれよ五月。

5月を象徴するのは、「五月」にあるように夏鳥(たとえばオオヨシキリ=写真)と草木の花、そして乾いた空気と若葉をやさしくなでて過ぎる風だ。暑からず寒からず。汗ばむ日があっても下着がべとつくほどではない。

5月下旬、山野はすでに「夏の濃緑」になったが、「うっそうを憎む」なんてとんでもない。「うっそう」の緑になってもいいから、もっともっと5月よ、長居してくれ――そんな心境だ。

さて、おととい(5月21日)の夕方、市役所の広報カーがなにか言いながらわが家の前を通過して行った。前にも同じようになにか言いながら通り過ぎて行った。光化学スモッグ注意報が解除されたことを告げるものだったか。5月で唯一、いや5月に限らないが、いただけないのはこの光化学スモッグだ

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