2009年6月1日月曜日

一絃琴コンサート


双葉郡川内村在住の志賀敏広さんの個展「花」がきのう(5月31日)、終了した。会期中のイベントとして土曜日(30日)の夕方、個展会場のいわき市平、アートスペース・エリコーナで一絃琴コンサートが開かれた。

志賀さんと親交のある清虚洞一絃琴宗家四代・峯岸一水さんが、解説を交えながら演奏した=写真。一絃琴は、もともとが精神修養のための楽器だ。「ひとつひとつの音の先を聴いて心平らかにすることが大切」という。

志賀さんに頼まれていわきの窓口役となり、案内状に整理券を同封して郵送し、手渡しで誘ったら、およそ110人が来場した。「一絃琴を聴いたことのある人は?」の問いに、手を挙げたのは4人だけだった。

エリコーナには展示スペースのほかに音楽用の小ホールがある。街の騒音が遮断された静謐な空間に玄妙な一絃琴の音色が響いた。ひとつひとつの音の先を聴くために、誰もが真剣に耳を傾けていた――後ろから見ていてそれがよく分かった。

「一絃琴は人に聴かせるものではなく、自分の心のために演奏するもの」とはいえ、聴く人の心にも深くしみるものがあったに違いない。「素晴らしかった」という声を何人かから聞いた。

峯岸さんの解説が面白かった。川内村で合宿した際、鳥の鳴き声を練習していたら、鳥がやって来た。一絃琴と鳥が和したのだ。

演奏した曲目のなかに「泊仙操(はくせんそう)」がある。峯岸さんの高祖父・徳弘太橆(たいむ)が作詞・作曲した。そのなかの一節(春の曲)。「春は梢に百鳥のさへづる声ののどかなり」。心平らかに自然に溶け込んで演奏すると、鳥も心平らかになってやって来るのだろう。そこに一絃琴の本質がある。新たな発見だった。

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