2009年6月5日金曜日

街中朗読会


いわき駅前再開発ビル「ラトブ」の6階企画展示ホールで6月2日、街中朗読会が開かれた。いわき絵本と朗読の会が主催した。「宇野千代を読む」「母を詩(うた)う」「郷愁」の3部構成で、ちょうど知人が出演する時間帯に会場へ入ることができた。

このところずっと大正・昭和初期の童謡関連本を読んでいる。月に1回、野口雨情記念湯本温泉童謡館でおしゃべりをすることになり、金子みすゞ、西條八十、サトウハチローと、調べたことを報告している。「母を詩う」にサトウハチローの「お母さんのうた」が入っていた。同時代の作家宇野千代にも興味がある。知人の誘いもあって「ラトブ」へ足を運んだのだった。

宇野千代は今でいう「飛んでる女」だ。瀬戸内寂聴著『わたしの宇野千代』に収録されている対談「天衣無縫な愛情過多」の一部(と思われるもの)を、知人が千代、もう1人が寂聴になりきって朗読した=写真。 突っ込む方も、答える方も率直すぎるくらい率直だ。

瀬戸内 先生のちょっと好きな人はたくさんいらっしゃいますけど、いちばんお好きだったのはどなたですか。やっぱり北原……。
宇野 やっぱり尾崎士郎です。尾崎士郎にはとても心を惹かれましたね。

といったくだりから始まって、男が縮こまってしまいそうな本音のトークが続く。

宇野 なよなよしているようでね、およそなよなよの反対なんですね。だから、かわいい女ではなくて、にくらしい女。男から見るとね。男の膝にすがって「あたしを捨てないで」なんてよよと泣いたりすれば……。
瀬戸内 さぞかわいかろう。
宇野 かわいいでしょうけれども、そんなこと、アハハハ、一度もしたことがない。

ここまでくるとかえって小気味がよい。サトウハチローを調べていて、弟子の菊田一夫にたどり着き、林芙美子が脳裏にちらつき始めたら、宇野千代もわきから視界に入ってきた。

「大正の青春」といったテーマで、男性のみならず林芙美子、宇野千代、壷井栄、佐多稲子、平林たい子らを調べたら、なにか見えてくるかもしれない、という気持ちになってきた。

0 件のコメント: