2009年6月17日水曜日

やせ細る夏井川


ウスヒラタケが大きくなってるだろうな。そう考えたら、自制がきかなくなった。きのう(6月16日)の午後遅く、夏井川渓谷(いわき市小川町)へ車を飛ばした。無量庵に着くと、やはり三春ネギをちょんぎるネキリムシが気になる。いた。2匹をブチッとやってから森へ入った。

日曜日にウスヒラタケの発生を確認した場所へ直行する。ちょうど採りごろになっていた。まず、一呼吸おいて写真を撮る。それから「白こぶ病」にかかっていないかどうか、傘の裏を見ながら採る。小さなレジ袋が半分埋まるくらいは収穫した。「白こぶ病」も10個くらいはあった。「白こぶ病」のウスヒラはそのまま置いてきた。

雨模様の午後4時前。緑のドームの底は少しばかり薄暗い。イノシシが現れたらどうしよう。遭遇を避けるために、口笛を吹いたり、声を出したりして歩く。日曜日早朝、湯気が立ってるようなフンを見て以来、臆病風が吹き始めた。ナイフのような牙で体をぐさっとやられたらたまらない。

日曜日のフンは乾いて、色もあせていた。ほかにフンは見当たらなかった。毎日現れるわけではないのだろう。行動半径が広いから、現れるとしても何日かあとか。

話は変わる。最近、夏井川渓谷の早瀬の音が小さくなった。無量庵の目の前に水力発電用の取水堰がある。ふだんは堰から水がオーバーフローをしている。それがおさまった=写真。発電のための取水と「我田引水」が理由だろう。渓谷の夏井川は、渇水期の冬場以上にやせ細っている。川が川でなくなっている。

「渓谷に沿って汽車が通うようになってからは、ハイカーも増えた代りに、伐木やその他で昔の景観は幾分そこなわれてきた。それに数ヶ所に発電所が出来たため、水流はまるで弱くなって味気ないものになってしまった」。草野心平が「背戸峨廊(セドガロ)の秋」で嘆いた状態になった。

しかし、それでもカワガラスがもぐり、オシドリのつがいが羽を休め、上空をカワウが飛んで行く。人間の営みを反映しながらも、夏井川渓谷の川は、森は常に発見と驚きに満ちている。ホンモノが発する情報の質量は無限大だ。

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