2009年6月20日土曜日

ツバメの子


いわき市植田町のギャラリー「わづくりや」で、竹細工の「大平良章作品展」が開かれている。6月28日まで。

おととい(6月18日)、大平さんご本人が案内状をカミサンに持って来た。私が「アッシー君」にならないと見に行けない。“自由業“とはいえ、いろいろ予定が立て込んでいる。土曜日は駄目、日曜日は夏井川渓谷、翌週のこの日とあの日は駄目――で、きのう午後、出かけた。

繊細な竹細工にあらためてうなった。プロとしての修業を積んできた人だ。ところが案内状に、竹細工に魅せられて二十数年、その可能性を求め、仕事の合間に創り続けた作品、という意味の文章があった。「仕事の合間」というのは「稼ぎの合間」だろう。

その合間こそ、ほんとうは大平さんの生の実感がしみわたる世界なのだ。「おれの作品を見てくれ」。つぶやきではなく、叫びの世界があってもいいのではないか。そんなことを感じて帰路に就いたら、カミサンがいつものように「ついで」をいう。

小名浜の「ギャラリーアイ」で「山野辺孝陶展」が開かれている。22日まで。そこへ車を走らせた。オーナーと初めて親しく言葉を交わした。ぐい飲みを買った。カミサンも小皿を買った。

帰ろうとしたら、入り口の床に段ボールが敷かれているのが目に入った。入るときにはまったく気がつかなかった。頭上の壁にツバメの巣がある。ツバメのひなのフンが落ちてくる。床が汚れる。それを段ボールでカバーしているわけだ。

ツバメの敵はカラスだという。去年はそれでヒナが死んだ。そんなことをオーナーから聞いているうちに親鳥がえさを運んで来た。親は一瞬のホバリング、ヒナも一瞬の口あけ。それが済むとヒナは体をすぼめて静かになる。なんだ、この以心伝心は。写真は、親鳥が来た瞬間にヒナが立って顔をのぞかせたところだ。3羽の顔が見える。

5分に一回は親鳥がえさを運んで来るという。待つか。ちらりと思ったが、やめた。狙って撮るタイプではない。遭遇したものを撮る。そのレベルでいいのだと自分に言い聞かせた。

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