2009年7月10日金曜日

山道のコジュケイ


わが家から夏井川渓谷(いわき市小川町)の無量庵へは、平市街北部の田園地帯を抜けて国道399号~県道小野・四倉線を進むのが最短コースだ。帰りはときどき、気分を変えて山越えの道を利用する。

田村市の実家への行き帰りも必ず違う道を利用する。同じ阿武隈高地でも、道が変われば風景が変わる。里のたたずまいが違う。同じ山が違って見える。ときにはオオタカが空を舞い、山菜やキノコが道端に生えている。見る楽しみ、採る楽しみがある。

先日早朝、逆のパターンで無量庵へ出かけた。石森山を上って下り、常磐道の高架橋の下を突っ切って、二ツ箭山に連なる四倉上岡~小川町柴原の林道を上って下った。のり面は1~2メートルの山砂層だ。ツチグリが出ているかもしれない。その期待があった。

期待は見事にはずれた。が、柴原の里に近づくとコジュケイが2羽、道に出てえさを探していた。すかさず車を止め、運転席の窓を開けてカメラのシャッターを押す。それでも逃げない。逃げないのは、「車は人ではない」と認識しているからだ。人であればたちまち姿を隠す。キジも、ほかの野鳥もそうだが、車は野鳥撮影のためのいいブラインドになる。

ゆっくり道端の草むらへ移動したのに合わせて車を前進させ、真横からシャッターを押した=写真。初めてピントの合ったコジュケイの写真が撮れた。

夏井川渓谷にもコジュケイはいる。「ちょっと来い! ちょっと来い!」。無量庵で菜園の草むしりをしたり、部屋でごろ寝をしたりしていると、けたたましい鳴き声が聞こえる。近くの小道を歩いているときに、急に足元から飛び立つこともある。びっくりして心臓が止まりそうになる。無量庵の“隣人”だが、人見知りは激しい。

今回はその逆。コジュケイが人間に気づくより前にこちらが気づいて写真を撮ることができた。背中の羽の模様はなかなかシックだ。そんなことが初めて自分の写真で分かった。

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