2009年7月31日金曜日

アブを運ぶアリ


夏井川渓谷(いわき市小川町)の無量庵で遅い朝食をとり、開け放った夏座敷で一服していると、アブがやって来た、大きいのはスズメバチにそっくりだから、アカウシアブか。小さいアブは見た目も、大きさもハエに似る。イヨシロオビアブという種類らしい。

この日は現れなかったが、大きさが両者の中間くらいのアブもいる。渓谷はブヨやアブといった、刺されると痛い虫のたまり場だ。清流の証しでもある。

こいつらに刺されたらたまったものではない。すぐ、落書き用にとっておいた6月のカレンダーを折りたたみ、ハエたたきよろしく連続してバシッ、バシッとやったら命中した。

気絶した小さいアブを座卓の上に置いて観察する。全長はざっと12ミリか。灰黒っぽい腹部に横縞(帯)が6本あり、複眼は金緑色。明るい縁側にアブを移して写真を撮った。ときどき足をぴくつかせる。頭も動く。

と、クロヤマアリでもあろうか、アブの3分の1ほどの体長しかないアリが1匹、廊下のへりから現れてアブにくらいついた。人間でいえば、生まれたばかりの赤ちゃんが大人に立ち向かっていくようなものだ。おっ! 次の瞬間、目をみはった。アリがアブを引きずり始めたのだ=写真。持ち上げようとさえする。

ある商品の宣伝文句に、アリは自分の体重の400倍のものを持ち上げ、1,700倍のものを引っ張る、とあった。何百倍、何千倍と喧伝されるくらいに力があるのは確かだろう。1匹でこの力なのだから、アリの集団にかかったら庭の車だって宙に浮いてしまうのではないか。

それはともかく、夏井川渓谷は「虫の王国」である。その王国の土地の一部を借りて(実際そうなのだが)、無量庵が建った。庭だけでなく、室内でも虫たちが生きるための営みを繰り広げるのは、当然のことなのだ。

とはいえ、痛い・かゆいはごめんだから、部屋には昼間から蚊取り線香の煙をくゆらせる。それでも襲って来るアブはバシッとやる。困るのは昼寝をしているときだ。自衛しようがない。注射の痛みで目が覚める。

1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

観察眼さすがです!
よくみるは基本ですね。

えんぴつ絵がうまくなるわけですね。