2009年8月6日木曜日

チチタケうどん


夏井川渓谷(いわき市小川町)の無量庵へキュウリとインゲンを摘みに行ったついでに、対岸の森を巡った。前にも書いたが、狙いは夏キノコのチチタケ、タマゴタケ、アカヤマドリなどだ。あってよし、なくてよしで、なければないなりに発生時期を絞る補強データになる。

2週間前(7月24日)、あちこちに生えていたアイタケの姿はどこにもなかった。タマゴタケはまたしても虫に食われ、色褪せて、今にも傘が傾きそうなのが1本あっただけ。チチタケ=写真=は出始めらしく、小さいのが5、6個発生していた。

イグチ系のアカヤマドリは、姿はなかった。代わってシワチャヤマイグチ(「食毒不明」と図鑑にある)、ニガイグチがあちこちに出ていた。ほかにはツルタケ、毒キノコのウスタケ、猛毒のドクツルタケなどがあった。

帰りは水量の減った渓流を渡って県道に出た。大きな丸石がごろごろしている早瀬で裸足になり、ズボンのすそをまくって、頭をのぞかせている飛び石伝いに足を運んだ。ジャンプしないと移れない石も2つあった。滑ればドボン。若いときと違ってためらいが生じる。情けない。そのためらいが、かえってドボンにつながるのではないか、そう思った。

チチタケはうどんのたれにした。細かく裂いて、ナスと一緒に炒め、醤油で濃い目に味付けをしたあと、水を加えて煮込む。これだけで基本のスープができあがる。好みによるが、私は冷たいスープにそうめんをつけて食べるのも、熱々のスープに入れて食べるのも好きだ。チチタケからえもいわれぬダシ成分が出る。

11年前の夏、知り合いがカナダ人女性を連れて来た。たまたまチチタケを採り、スープをつくっておいたので、チチタケうどんを振る舞った。「おいしい!」。知り合いも、カナダ人女性も、〈ジャパニーズヌードルとスープ〉に舌鼓を打った。美味は国境を超えることを知った。

チチタケうどんの本場は栃木県。いわきの山里で栃木ナンバーの車に出合ったら、チチタケ採りと思って間違いない。それほど栃木の人間がいわきにも出没している。その数が年々増えているように感じる。地元で食べながら保護するためには、お引き取り願いたい――となるのは、けちな料簡か。

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