2009年8月14日金曜日

ウミ・マチ・ヤマを巡る


広島から甥っ子が中2の娘を連れて母親のもとへ遊びに来た。広島と言えば太田川だが、山間部(中国山地)では西に流れて日本海へ注ぐ江の川、東に流れて瀬戸内海へ注ぐ高梁川と、流域が分かれる。その山あいの盆地に住む。

いわきの名所巡りをした。といっても、かつては日本一の広域都市。夏井川流域にしぼって、河口から渓谷まで、全体の流路の半分弱を案内した。

ちょうど昼時。河口では新舞子海岸の「マユール」でカレーを食べた=写真。中2の女の子は学校給食でナンを経験しているが、チャイは初めてだという。目を輝かせてカレーとチャイを味わった。

夏井川最後の橋、磐城舞子橋から目をやると、閉塞していた河口が先日の大水で抜けていた。水量が元に戻れば川の勢いは弱まり、再び左へ直角に曲がって横川に注ぐようになる。久しぶりに“川の便秘”が解消されてほっとする。

次に向かったのは河口からおよそ30キロ上流にある夏井川渓谷。週末に過ごす無量庵で一休みを、と「マユール」で思い立った。甥っ子が2つか3つのとき、母親とともに無量庵で遊んだ。記憶が全くないという。三十数年前のことだ。2、3歳では無理もないか。

それはともかく、中2の娘である。この“準孫”、「景色には感動した……」が、大の虫嫌い。部屋に現れたアブに身をよじり、悲鳴を発して落ち着かない。小一時間もしないうちに無量庵を離れて、いわき市立草野心平記念文学館に向かった。“準孫”はすっかりそこが気に入った様子。心平を知り、企画展が開かれている工藤直子を知れば、言うことはない。

最後は、いわき駅前再開発ビル「ラトブ」で別れる。いわきのお土産を買うのだという。車中で「じゃんがら念仏踊り」のCDを聴かせ、「いわきはじゃんがら」ということを吹聴したあとだけに、「食べるじゃんがら」を勧める。宵の6時過ぎには再び母親の家へ出かけ、1年ぶりの再会を祝して乾杯した。

二人はいわきのウミ・マチ・ヤマの一端を胸に抱きとめてくれただろうか。とりわけ“準孫”の脳裏にウミ・ヤマ・マチの光景が刻まれただろうか。刻まれたとすれば、このドライブは成功だ。

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