2009年8月21日金曜日

夏は流灯に乗って去った


夏井川流灯花火大会が昨夜(8月20日)、いわき市平・鎌田の平神(へいしん)橋下で行われた=写真。河原では併せて万霊供養の「じゃんがら念仏踊り」(菅波青年会)「笠踊り」(中神谷青年会)「梅ケ香盆囃子」(梅ケ香盆囃子保存会)が披露された。

前の晩、カミサンの幼友達が電話を寄こした。「じゃんがらフリーク」を自称する人だ。こちらも写真に収めたいものがある。一緒に見ようということになって、夫婦で出かけた。

平神橋は1年に一度、この夜だけ歩行者天国になる。橋の下流でゆらゆら明かりをともしながら流れる灯籠を眺め、夜空を彩る打ち上げ花火に歓声を上げる。左岸堤防の上には露店が軒を並べる。橋が架け替えられたとき、観覧スポットを兼ねて歩道部分に出っ張りが設けられた。その橋の上も、堤防の上も、河原も人で埋め尽くされた。

灯籠を流すのは新盆家庭。家族でやって来て、予約しておいた灯籠を受け取り、次々に夏井川へ流す。私たちもカミサンの父、伯父、母と、これまでに三度灯籠を流した。

仮設のライトが照らす中、女性2人にお付き合いする形で突っ立っていると、野鳥を介して知り合った大学生のA君があいさつにやって来た。中学校の同級生のM君も現れた。誰にとっても、自分のすまいから一番近い場所で行われる“夏まつり“――そんな意識がはたらくのだろう。

7時過ぎ、「じゃんがら念仏踊り」が始まった。吸い寄せられるように人が集まって来る。堤防の上も、中段の高水敷もギャラリーであふれた。これが、2番手の「笠踊り」になると少しずつ人が引け、「盆囃子」はもっと引けて耳で聞くだけの人が増える、そんな印象を持った。「笠踊り」は北関東で歌い踊られる八木節だった。「盆囃子」も盆踊りの唄だ。

「じゃんがら」を見たから帰る、では味気ない。打ち上げ花火が始まるまで、小腹を満たすことにした。女性2人が焼きそば、焼き鳥を露店から調達した。清涼飲料水もどこからか買って来た。川風に吹かれながら食べて、飲む。そういう少年時代もあったなーと、胸の中でつぶやく。女性2人も少女時代に立ち返っていたのではないだろうか。

花火は堤防から橋の上に移動して眺めた。威勢よくドカン、ドカンとはいかないご時勢。尺玉が描く「天の夕顔」を見て会場をあとにした。「まつりの夏」が終わったら、「選挙の秋」だ。われに返って、日常を、これからの暮らしのありようを考えるとしよう。

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