2009年9月4日金曜日

頑張ったんだな


3つ年下の元同僚の通夜と葬儀に行って来た。喪主のHさん(彼女も元同僚)、娘のAちゃんと言葉を交わした。胸が詰まった。告別式でAちゃんが会葬者に謝辞を述べた。別の元同僚の話も加味すると、大変な闘病生活を送ったらしい。

Aちゃんは言った。――闘病4年4カ月。家族3人で協力し合ってきた。父は冷静に現実を受け入れて対処した。良い思い出も残してくれた。世界一誇りに思う。

会葬者に応対する合間に、Hさんは言った。「3人で頑張ろうってやってきたの。頑張ったのよ」「最近は穏やかになって」。Aちゃんは結婚した。25歳になった。「孫は」と問うと、、「8月に急きょ籍を入れたの」。Aちゃんの記憶は中学生のとき止まり。10年以上は音信のない状態が続いたわけだ。

この2日間、元同僚と走ってきた道のりを振り返ってばかりいた。記者になる前、記者になったあとを含めて、〈よく酒を飲んだなぁ〉――それが真っ先に思い浮かんだことだ。よく元同僚の家に飲みに行ってそのまま泊まった。殴り合いではなく、取っ組み合いのけんかもした。

私が突出するタイプなら、元同僚は引っ込むタイプ。色でいえば、青ではなく茶。お膳立ての努力はするが、手柄は他人に譲る――。取材先での人脈づくりが独特だった。裏方さん、たとえば電話交換手さんらとすぐ知り合う。警察回りでも刑事の家ではなく、刑事が家に飲みに来るような関係を築く。これは、私にできる芸当ではなかった。

闘病4年余といえば、発病は53~54歳のときだ。冷静に現実を受け入れるには、勇気がいったろう。記者の仕事からは離れたが、最後に記者の根本姿勢である「ウオームハート・クールアイ」を生きたのだ。頑張ったんだな。

それでも、最後の別れをしていない。葬祭場で霊柩車を見送ったあと、新しい火葬場「いわき清苑」=写真=へ向かった。家路の途中にある。最後の最後に、穏やかで安らかな顔を見た。

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