2009年9月6日日曜日

ウスヒラタケとろける


きのう(9月5日)の早朝、秋キノコをチェックするために里山へひとっ走りしてこよう、と書いた。5時半過ぎに飛び出して7時前に帰って来た、その顛末記。

集落の奥、狭く段々状になった水田が途切れるあたり、ため池を抱え込むようにして里山が広がる。ため池はすでに水が抜かれた。すり鉢の底に申し訳程度に水たまりがある。まだ魚がいるのか、カイツブリが潜水しては浮上し、浮上しては潜水していた。漁の成績は芳しくないようだった。

水たまりのそば、空気にさらされた泥土に獣の足跡がついていた。大きいのがS字状に一つ、小さいのが左右から寄り添うように二つ、三つ。イノシシの親子だろうか。撮った写真を拡大して見たが、ひづめが二つに割れている偶蹄目の特徴は確認できなかった。

遊歩道が張り巡らされている里山に入る。一番低い沢沿いの小道だ。道からそれて林床を探るとなると、散歩の時間を超える。林床に入りこむようなキノコ採りは、たまにしかやらない。行って戻る。それだけ。何カ所かでウスヒラタケがとろけ、黄色っぽく汚れていた。台風11号が襲来する前後、一週間前なら大収穫だったろう。

ウスヒラタケが駄目ならオオゴムタケがある――。折り返し地点を丹念に眺めまわす。オオゴムタケが1個あった。黒っぽい球体を水平にスパッと割った半球体状だ。毎年、ここでオオゴムタケを採っている。それが出始めたようだ。

振り出し地点に戻ると、左側に真っ赤な色が見えた。ツチアケビの果実=写真=だ。まるで赤く着色したウインナーソーセージをぶら下げたような形。

ツチアケビは光合成を行う葉を持たない。養分のすべてを共生菌に依存しているという。相手はキノコのナラタケ。秋が深まった時点でチェックすれば、ツチアケビの周辺でナラタケが採れるかもしれない。

オオゴムタケについては、前に「森のナマコ」と形容したことがある。が、「森のプリン」と言った方がいいかもしれない。湯通しをして表面を切り取り、残りの透明な「プリン」を小口切りにしようかと思ったが、むずかしいのでやめた。縦、横、斜め、切り方は自由だ。

いったん冷蔵庫で冷やしたあと、半分にしたコカブをスライスするように刻む。酢醤油に洋ガラシを溶かし、そこにスライスしたオオゴムタケをさっとつけて食べる。酒の肴としては秋の森の珍味には違いない。

ウスヒラタケには一歩遅れたが、カイツブリ・獣の足跡・ツチアケビに出合えた。それ以上に、オオゴムタケに出合えた。そのことを、里山に感謝する。

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