2009年9月9日水曜日

個展を見に泉へ


いわき市の南部寄りに位置する泉地区は泉駅をはさんで大々的に区画整理が行われた。泉は今や、いわきで最も人口増加率の高い地区ではないだろうか。ときどきこの地区にできた画廊をハシゴする。きのう(9月8日)も3軒を駆け足で回った。泉駅に近いアートスペース泉では、私と画廊を逆のコースで回る知人と顔を合わせた。

玉露五丁目・ブラウロウト。「齋藤将展」の案内状が届き、面白そうだったので出かけた(9月29日まで)。丘の上にある泉ヶ丘・ギャラリー磐城では、旧知の渡辺八市(やいち)さんが個展を開いている(9月15日まで)。

齋藤さんの絵は楽しかった。クジラ・犬・男の子……。夢のなかで遊ぶような、ほのぼのとした世界が好ましかった。物語を添えたら面白い絵本になるのではないか。

八市さんは「色と線」の構成にこだわる、最近珍しい絵描きだ=写真。「線」で始まり、「面」に移り、再び「線」と格闘している。この“一本道”の愚直さが持ち味でもあろう。スペインに住む共通の友人の話になった。というより、私は八市さんが胸に受け止めている友人の言葉をそこに立てて“3人”で話をした。

「線にもっと変化を持たせたら」と友人が言う。「同じ色と線、少しは進歩したと思ってもらえるようにしないと」と八市さん。私は「進化より深化を」と応じる。それで十分。あとはキノコの話になった。高級食菌を探し当てるキノコ通だということが分かった。八市、恐るべし。

八市さんの個展を初めて見たのは二十数年前だったろうか。テーブルにアルバムがあったので見ると、写真に収まっている知人はみな若かった。「面」を主題にした作品もあった。結構、画面が締まっている。「面の八市」と「線の八市」。私は「面の八市」も捨てがたいと思った。

色と線といえば、カンジンスキーの「点・線・面」理論だ。水平線がある。垂直線がある。斜線がある。やや曲がった線がある。冷たくも温かい、その「無限運動の可能性のもっとも簡潔な形態」。「色と線」の音楽を聴こうと目を凝らしたら、彗星のようにカラフルな線が響き合った。

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