2009年9月13日日曜日

このキノコは何?


夏井川渓谷(いわき市小川町)でちょっと風変わりなキノコを見つけた=写真。全体がねずみ色、高さは5センチ未満。見たこともない色と形だ。阿武隈高地の川内村で発見された超貴重種のコウボウタケか、と心躍ったが、傘は膨らんで丸みを帯びるどころかラッパ状だ。指ではじいたら、パッとねずみ色の粉が飛んだ。

何というキノコだろう。分からない。分からない以上は特徴を記録しておかねばなるまい。それにはスケッチが一番。撮影データをパソコンに取り込み、拡大して細部を観察する。写真をプリントアウトして、拡大鏡で全体の印象をつかむ。そうしてスケッチしながら、気づいたことを書き込む。

傘も、ひだも、柄もムラなくねずみ色。傘はラッパ状だが、ひしゃげ、めくれ、よじれている。柄とひだは区別がつかないだけでなく、血管が浮き出たようにデコボコしている。

今まで見てきたキノコで形が一番近いのは、傘が黄色く、柄が白いカノシタだ。が、カノシタは傘の中央が浅くへこむだけ。ラッパ状にはならない。ラッパ状のキノコではアンズタケが近い。こちらは黄色みが強く、ひだがしわ状だ。

この色と形のキノコは、手元の図鑑には載っていない。若いときだったら「新種か」と短絡的に心が波立ったものだが、今は慎重だ。指で触れただけで粉が飛んだのが引っかかる。どうもカビのような気がしてならないのだ。カノシタかアンズタケが病気になった可能性はないのか。

分からないことは分からないこととして、当面、保留しておく。そのうち専門家に会ったときに写真を見てもらい、見解を聞こう。森はこうしてときどき、入り込んだ人間に謎をかける。

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