2009年10月4日日曜日

五輪招致合戦


IOC総会が開かれているのはデンマークのコペンハーゲン。日本時間の3日未明、2016年夏のオリンピック開催都市がブラジルのリオデジャネイロに決まった。東京は2回目の投票で落選した。

5泊7日の北欧旅行は最終宿泊地がコペンハーゲンだった。9月23日の夜、ホテルからレストラン「東京」に繰り出し、冷ややっこや漬物、焼き魚などをつつきながら日本酒と焼酎を楽しんだ。北欧最後の夜に旅の緊張がほぐれ、眠っていた里心が目覚めたのかもしれない。

オーナーは青森県出身。われわれ仲間の会話に東北人のにおいをかぎ取ったらしく、「いわき」「仙台」などと住所を告げると、一気に会話の輪が広がった。日本でよく見かけるのと同じ「居酒屋のマスター」然といった気さくな人柄で、街の様子や店の現状を教えてくれた。

去年のリーマンショック以来、店は閑古鳥が鳴いているという。宵の6時半に入店したが、先客は幼児を連れた日本人の若い夫婦一組だけ。店を出るまでに入って来た客は二組だったか。席が埋まるということはなかった。観光がしぼんでいる――そんな印象を受けた。

自然と、その時点で10日後に迫ったIOC総会の話になった。〈そうか、ここで決まるのか〉。なんとなく五輪招致合戦が身近なものに感じられた。

事前のマスコミ報道では、シカゴが優勢から苦戦に変わった。日本に帰ってから再び優勢に転じたと報じられたが、そうだろうかという疑問はぬぐえない。東京も予断を許さない。もちろん東京に決まればうれしいが、北京で開催されたばかりだから再びアジアでという線は薄い、と考えるのが常識的。

となると、まだ開催したことのない南米に決まるのではないか――コペンハーゲンのレストラン「東京」で酒に酔い、しかし冷めた目で眺めれば、そんなところに落ち着くのだった。

それはそれとして、日本から応援ツアー客が200人ほど来ると聞いては、レストラン「東京」が満パイになる光景を想像しないわけにはいかない。実際には300人ほど駆けつけたらしいから、前祝いか、残念会かは分からないが、夜、ツアー客が大挙して歩行者天国=写真=を進み、レストラン「東京」へ向かったのではないか。オーナーもいっぱい汗をかいたことだろう。

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