2009年10月9日金曜日

ヨコザッポ


台風18号がいわきに接近したきのう(10月8日)朝、カミサンが家の前に出ると、宅配便の看板が「ヨコザッポになっていた」という。意味がよく分からない。聞けば、自分の意思で横になったのではなく、外力で倒れて横になっていた、ということらしい。人間が「ヨコザッポ」にならないよう、家の中で台風をやりすごすことにした。

私は、ゴーゴーうなる風が大嫌いだ。なかでも、春先の季節風が。北西の大風が木を揺すり、家をたたくと、耳をふさぎたくなる。

きのうは、朝6時前に目が覚めると、強風が吹き荒れていた。台風は反時計回りで大風を送る。それが地上では、丘があり、家があり、田んぼがありで、風が乱れ、走り、大波になる。ちらっと、窓を開けてすぐ閉めた。気持ちが落ち着かないのだ。

還暦になっても、8歳のときに体験した町の大火事が、記憶の底から浮上してくる。理性ではコントロールできない怖さ、といってもいい。夜7時。真っ暗な天上に届く火柱と、水平射撃の火の粉と、炎に浮き彫りになる、逃げまどう黒い人間の影――「超現実」の風と火に対して、台風は「超現実」の風と水だ。

それはさておき、被災地のみなさんには申し訳ないが、今度もまた、いわきという土地柄を思わないではいられなかった。「台風銀座」ではない、その「裏通り」に位置するありがたさを。

きのう午後、近くの夏井川を見ると、思ったより水位は高くなかった。サイクリングロードが途中から冠水している程度だった=写真。同じ浜通りでも北部は大雨、いわきでは「風台風」だったのだ。

1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

ご指摘の通り、表だった台風の被害は少ないよう思います。
土砂崩れ予想災害マップは地質上、多数地域に点在してかと思いますが、台風被害は農作物やビニールハウス被害のほかは少ないかもしれません。

「裏通り」はよくわかりませんが、インフラもそれなりに整備されているのでしょうか?