2009年10月19日月曜日

列車は黙って発車する


この欄で、時々紹介している「北欧見聞録」の続き。ざっと1カ月前に経験した「列車」について、です。

ノルウェーのソグネフィヨルドを観光するために、ベルゲン鉄道を利用した。ベルゲン鉄道はベルゲン~オスロを結ぶ。福島県で言えば、磐越西線と磐越東線をつないだようなルートだ。途中のミュールダル駅、磐越東・西線でいうならば郡山駅(ただし標高は高い=866メートル)までの普通列車に乗った。北欧旅行中に初めて体験した列車の旅だ。

ベルゲンから東へ向かい、高地のミュールダルからフロム鉄道に乗り換え、北へ傾斜するフロム渓谷を縫って海抜2メートルの小さな港町・フロムに至る――海というよりは山中の湖に向かうような感覚だ。

ガイドのアダチさんがベルゲン駅で、ホームに向かって歩いているわれら“修学旅行”の一団(7人)に言った。「こちらの列車は何の合図もなく発車します。注意してください」。「おっ」とうなった。胸の中でさざなみが立ち、「文化の違い」といった言葉が浮かんできた。

いわき駅、あるいは上野駅で耳にするアナウンス、鳥の声、発車のベル音、音楽に慣らされた身としては、「黙って発車する列車」がなかなかイメージできない。ホームに出ていて発車されたらコトだ。車内にとどまっていると、確かに何の合図もなく列車が発車した。当然、車内アナウンスもない。

ベルゲン鉄道では、女性車掌が駅ごとにホームに出て発車の合図をした=写真。単線のフロム鉄道では、途中、5分ほどの待ち時間があった。

すると、小雨降るホームに出てたばこを吸う男がいた。喫煙者は、われら一行7人のなかではS君だけ。そのS君だ。でも、彼はちゃんと吸い殻入れを携帯していた。5泊7日間の旅行中、向こうの人間をつぶさに観察したが、たばこに関するマナーでは彼が北欧一だった。

駅はどこも吹きっつぁらし状態。磐越東線で言えば、夏井川渓谷の江田駅や川前駅と同じで、無人駅が多いようだった。

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