2009年10月23日金曜日

世界遺産のフィヨルド


きのうのフロム鉄道に続く、船によるフィヨルド観光の話(概略は10月1日付当欄参照)。大きくはソグネフィヨルドに含まれる、世界遺産のネーロイフィヨルドのことだ。ネーロイをナーロイと記述するパンフレットもあるが、ここではネーロイで通す。フロムからフェリーに乗り、ネーロイへと左折してグドバンゲンへ向かった。

フィヨルドは、氷河が削り取ったU字谷に海水が入り込んだ世界。なかでもソグネフィヨルドは海岸線から深く切れ込んだ最奥部の入り江まで204キロ、海面からの最深部は1,300余メートル、それ以上に標高1,700メートルを超える山々が連なる、世界最長・最深のフィヨルドだという。ネーロイはかつての「ソグネ氷河」の支流ということになる。

海水を取り除いたU字谷の世界を想像すると、平らな谷底からの高さはざっと3,000メートル余、それがほぼ垂直にそそり立っている。谷底はどのくらいだろう。ガイドのアダチさんが「サッカー場3個分」と言ったのは、ネーロイの最狭部のことか。

神様がつくった景観だと思うしかないスケールの大きさ、ケタが違う――前にも書いたが、私が比較できるのは四国の吉野川か、わが夏井川渓谷、そしてその支流・江田川(背戸峨廊=セドガロ)くらいのものだ。

見どころはいっぱいある。いや、見どころだらけと言っていい。船室の一番前に陣取り、パンフレットをチェックしながら前方、左右の光景を写真に撮り、メモをした。それでも間に合わない。「あれっ、イルカだ」。同行のS君が叫んだ。船の切っ先に姿を見せたのを仲間は目撃した。私は見逃した。

見事な景観の連続だからどこがどこだったか、日がたつにつれて記憶があいまいになる、印象は鮮明でも場所が分からなくなる。記録した文字がかろうじて地図上の位置関係を指し示す。

それはさておき、晴れたかと思うと、山から雲が現れて雨が降る。雲が去って雨がやむ。また晴れて、雨が降る。約2時間のフェリーの旅は猫の目天気の繰り返しだった。一日のうちに、いや一時間のうちに四季がある――。雪こそ降らなかったが、遠くの山に万年雪が見えたので、そんな感想を抱いた。しかし、万年雪も年々縮小しているという。

フロムからだとネーロイを南進することになる。午後の日が差すと、前方の海面が光を反射して輝いた。右岸の山の上から流れ落ちる滝も白く光に輝いていた=写真。雨がやめば涸れる滝もある。この滝もそうだろうか、などと考えながら、神々しい風景を見続けた。

崖だってこれだけ険しいのだから風化して崩れるのではないか。ガイドのアダチさんに尋ねたら、うなずいた。岩のすき間に雨がしみる。冬にはそれが凍る。すると亀裂が起き、やがて崩落する。崩落が続いてフェリーの航路が極端に狭くなっているところもあった。風化・崩落という点では、夏井川渓谷と変わりがない。現在進行形だ。

1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

雄大ですね!
ネプチューンでも現れてきそうな光景ですね。
地球って広いんですね?