2009年10月24日土曜日

ブリッゲン地区


きのう(10月23日)の「世界遺産のフィヨルド」は〈自然遺産〉編。きょうは同じノルウェーの〈文化遺産〉、ベルゲンの「ブリッゲン地区」について。

ベルゲンはフィヨルドの出口の港町だ。中世、北ドイツを中心にした「ハンザ同盟」の一拠点として、「干しダラ」の一大集散地になった。港の一角にドイツ風の木造家屋が並ぶ。それが「ブリッゲン地区」だ=写真。びっしりすき間なく建てられた3階建て、三角屋根の木造切妻建築が特徴で、壁面がオレンジ、白、イエローと多彩な色に染まっている。

第一印象は、〈なぜここだけが世界遺産なのか〉だった。同じ通りのほかの建物も、港の反対側の建物も、そうたたずまいは変わらない。ということは、歴史的な重みが違うのだろう。

外観はいかにもしゃきっとしている。色合いも鮮やかだ。が、ガイドの日本人女性(アキコさん)に案内されながら、隣接する建物の境に設けられた通路に踏み込んで驚いた。建物の内側がかしいでいるではないか。日本の田舎に残っている、少しゆがんだ古い納屋を思い出した。

木造だから、火事で焼失したこともある。そのつど、寸分たがわず復元した。それを繰り返している。で、今は柱がかしぐくらいに「燃えない時間」を生きているのだ。わがいわき市の国宝(建築物)・白水阿弥陀堂に比べたら、若い、若い(白水阿弥陀堂は世界遺産級だと私は思っている)。

外観は昔と変わらない。しかし、内部は全く違う。ハンザ商人の住居・倉庫・仕事場だったのが、現代風の土産品店やブティック、レストランなどに変わった。外観が同じならすべてよし。日本とは違うな――表層的かもしれないが、そんな感想を抱いた。

その夜は、「ブリッゲン地区」と同じ通りながら、一つ手前にある建物のレストランで酒と魚料理を楽しんだ。われわれのテーブルの世話をしてくれた店のスタッフは、笑顔の美しい、品のある女性だった。北欧で接した女性の中ではナンバーワンだった、と言ってもいい。「おねえちゃん」で通した仲間もいたが、たぶん意味は通じなかったろう。

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