2009年12月16日水曜日

白鳥が100羽に


ちょっと少し早く起きた日、といっても薄明るくなってからだが、散歩へ出かけて夏井川の堤防に出ると、ハクチョウにえさをやっているMさんが軽トラで帰って来た。会えば必ず車を止めて一言、二言しゃべっていく。「3羽はあきらめた。しょうがない、姿を見せないもの」

3羽とは翼をけがして北帰行がかなわなくなった残留コハクチョウの「左助」「左吉」「左七」だ。一年中、3羽にえさをやっていたMさんだが、今年の初夏以降、「左吉」と「左七」の姿が消え、河口にいた「左助」も姿を見せなくなった。天敵にやられた、とMさんは思っている。思いながらも、「もしや」と奇跡を信じてきた。もう三回くらいあきらめた話を聴いた。

「今は100羽近く来てる」。師走に入って10日ごろから急に増えた。オオハクチョウも混じっている。河川改修工事が行われている平・塩の越冬地。日中は重機が動き回っている。「工事をあんまり気にしないみたいだ」。それはよかった。

とはいえ、昨年までの落着きはない。工事が始まるころには、5羽、2羽、十数羽と、朝日に向かって飛び立つ群れがある=写真。夕方には逆に海の方から戻って来る。

9月に北欧を旅したあと、ほぼ40年ぶりにアンデルセンの童話を読み返している。「みにくいあひるの子」にも、「絵のない絵本」(二十八夜)にも白鳥が登場する。挿絵は決まってコブハクチョウだ。そうか、デンマークの白鳥はコハクでもオオハクでもなく、コブか。向こうでは留鳥ないし漂鳥ではないだろうか。

コブはくちばしが赤い。その基部に黒いこぶがある。で、コブハクチョウ。オオハクとコハクはくちばしが黒く、基部の黄色い切れ込みが小さいとコハク、くさび状に長く食い込んでいるとオオハク。

となると、アンデルセン童話の白鳥はコブを前提にして読まないといけないだろう。種が違うのだから、日本の白鳥に合わせたら“誤読”してしまう。北欧旅行のあと、そんなことまで考えるようになった。

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