2009年12月10日木曜日

アルタン公演


アイルランドの歌手・音楽家、エンヤを知ったのは何年前だろう。上の息子がまだ東京にいたころ、彼女のCDを持って帰省した。それを聴いてとりこになった。10年以上はたっているか。以来、アイルランドに興味を持っていろいろな本を読んできた。

カミサンの知り合いの若い女性からは、ケルト音楽のカセットテープをもらった。いわゆるトラディショナルミュージックが中心で、「かわがらすのストラスペイとリール」といった曲はそれで覚えた。郡山市までリバーダンスの公演を見に行ったこともある。

いわきのアリオスで日曜日(12月6日)、アルタンとカトリオーナ&クリスによるコンサート「ケルティック・クリスマス」が開かれた。アルタンは「ケルトの最高バンド」と称されるグループ。6度目の日本公演をいわきのアリオスから始めた。カトリオーナ&クリスはスコットランドの若いユニット。北欧系の音楽も何曲か演奏した。

アイルランド、スコットランド、北欧(スカンジナビア半島)とくれば、ケルトとヴァイキングだ。ユニットの一人、クリスはシェトランド諸島の出身。地球儀で確かめたら、そこはスコットランドの北というより、ノルウェー・ベルゲンの西の海に浮かぶ島々だった。

15世紀の初め、ノルウェーもスウェーデンも支配していたデンマークの王が、娘をスコットランド王に嫁がせるとき、持参金代わりに島々をくれてやったのだという。北欧とのつながりは深い。北欧系の曲が多かったのもうなずける。

一方のアルタンは、アイルランド共和国の北西端、北アイルランドの西にあるドニゴール州が根拠地。すぐ北東のスコットランドとは昔から交流が盛んだった。エンヤもドニゴールが根城だ。美貌を誇るアルタンのフィドラーにして歌手、マレード・ニ・ウィニーとは、歩いて行き来できるようなところにいたりして。

公演が始まる前には、中劇場ロビーにアイルランドの「パブ」が出現した。チラシに書かれてある「プレパフォーマンス」というやつで、ギネスの黒ビールを売っていたが、車で行ったので我慢した。

かたわらでは、会津のデュオ「フェアリーランド」がケルティックミュージックを演奏し、いわきの3人組も続いて演奏を披露した。最後は5人によるセッションが行われた=写真

師走のひととき、ロビーで、中劇場でアイルランドの片田舎にあるパブに入ったつもりで音楽に聴き入った。なかで、二つ面白いと思ったことがある。

クリスの出身地のシェトランド諸島は、緯度が高いので夏は白夜になる。「昼は一生懸命働いて、夜は一生懸命遊ぶ」と聴衆を笑わせて、白夜をテーマにした曲を披露した。アルタンのマレードも「アイ・ウィッシュ・マイ・ラブ・ワズ・レッド・レッド・ローズ」を歌い、演奏する前に、「ロバート・バーンズの『赤い赤いバラ』とは違うわ」と、わざわざ断りを入れた。

バーンズは今年生誕250年。なかなか発展家だった男で、あちこちで子どもをつくった。日本では「蛍の光」の原詞作者として知られる程度だが、向こうでは「スコットランドの国民詩人」だ。同時代の人間を日本に探れば小林一茶。アイルランドにもその名が鳴り響いているのは、ドニゴール州とスコットランドの交流の濃密さからいって当然か。

バーンズは、野口雨情が若いころ私淑した。いわきの農民詩人三野混沌も同じく、バーンズの詩作品に引かれた。そんなことが頭にあったので、マレードの言い方がおかしくて笑った。向こうでは今もバーンズが生きている。

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