2009年12月12日土曜日

オバマだけ?


きのう(12月11日)の新聞は、米国のオバマ大統領がノルウェーでノーベル平和賞を受賞した記事を大きく取り上げていた。実績がない、アフガニスタンの兵員増派を決めた、授賞式の関連行事をすっぽかした――。批判的な論調が多かった。

アフガニスタンで厳しくやるぞ、という指導者に平和賞を贈るのだから、マスコミが矛盾を突いて批判的になるのは当然だ。で、それはそれで頑張ってもらいたい。が、同じ日にスウェーデンで今年のノーベル賞の授賞式が行われた。その記事が新聞に見当たらない。なぜだ。

物理学賞、化学賞、生理学・医学賞、文学賞、経済学賞はストックホルムで授賞式が行われる。ノーベルの生まれた国だから当然。日本人が一挙4人も受章した去年の報道とは打って変わって、まるでひとごとではないか。

と、こんなことをいう私もまた、日本人以外の受賞者には興味がない。というより、知らない。それが去年、文学賞にフランスのル・クレジオ氏が選ばれた。年齢的にはちょっと上ながら、ほぼ同世代といえる人だ。

18歳のとき、フィリップ・ソレルス(1936年生まれ)というフランスの若者が書いた「奇妙な孤独」という小説にのめり込んだ。そのあと、同じようにル・クレジオ(1940年生まれ)という若者が「調書」という小説でデビューした。この二人は、わが青春前期にあっては一種の灯台だった――と、思い出を語ってもしようがない。

ノーベル賞のニュースは受賞が発表されたときがピークで、あとは関係する国・地域が盛り上がるだけなのにすぎないのか。ル・クレジオ氏の受賞は、こちらがたまたま知っていて、本も読んでいたから印象が強かった。それは間違いない。

が、今年は授賞式のあとに行われる大晩餐会と舞踏会の会場である、ストックホルム市庁舎=写真=を見てきたこともあって、ノーベル賞をはじめ北欧関係のニュースを注意して見るようになった。

すると、東京の五輪落選、ノーベル賞受賞者発表以外は、見事なほどゼロだった。ノーベル賞授賞式も、朝に届く2紙についていえば、オバマ大統領以外の記事はなかった。

新聞は、いや人間の関心は「近く、深く」(ローカル)、そして「遠く(広く)、浅く」(グローバル)というのが一般的だろう。全国紙といえども、日本というローカルな視点で新聞をつくっている。ゆえに、オバマ大統領以外は無視、となったのだ。

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