2010年1月12日火曜日

龍馬伝


一気に竜馬が来た――そんな感じを受ける。NHKの大河ドラマ「龍馬伝」が始まったら、早速、民放で竜馬がらみのCMが流れだした。竜馬は日本人を越えた日本人。日本人に人気のある歴史的な人物としては屈指の存在だろう。熱烈な竜馬ファンがいわきにもいる。

竜馬はやがて脱藩するが、それも一つには士農工商、そして士のなかでも上士・下士の違いがある、そんな理不尽な身分差別、閉塞状況を乗り越えて自由にはばたきたかったから、だろう。竜馬の家は下士階級に属しており、幼い竜馬が上士に手打ちになるところを母親が死を賭して守った――というのが、初回のポイントだったに違いない。

ドラマで上士・下士の厳然たる身分格差を垣間見て、ある酒席での会話を思い出した。

50代半ばの隣の人が、自分の生家のことに触れながらこう自嘲した。「私は下男だから」。兄弟が何人かいる。ばっち(末っ子)だったか、下から二番目だったかは聞きもらしたが、要は家を継ぐ兄がいて、その弟たちがいる。長男以外はその他大勢組、つまり「上男」(長男)に対する「下男」というわけだ。

太宰治は若いころ「オズカス」と言われていたそうだ。「オズ」は津軽弁で「弟」、「カス」は文字通り「カス」だ。跡取り以外はカスのような存在。「下男」と相通じる感覚だ。

さて、竜馬といえば海の向こうを見ている姿が思い浮かぶ。いわきの新舞子海岸に設けられた波消しブロックの上に、初夏、ダルマを担いだダルマのミニ将棋盤とでもいった置物があった=写真。今もあるかどうかは分からないが、最初これを見たとき、しゃれたことをする人がいるものだと思った。「竜馬伝」が始まって、その置物を思い出した。

竜馬とは比較すべくもないが、こちらも太平洋を凝視し、何かを考え、何かを思い続けている。

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