2010年2月20日土曜日

ヒヨドリ哀れ


田畑や河川敷が雪で覆われると、スズメたちはえさ探しに苦労する。民家の軒下や庭木の下に地面がのぞいていれば、大挙して飛んで来る。草の実でも落ちているのだろう、盛んについばんではまたどこかへ飛んで行く。急にスズメの姿が目立つようになるのだ。

雪の庭にスズメがやって来ると、決まって思い出す光景がある。「スズメ生け捕り作戦」だ。小学生になるかならないかのころの、遠いとおい日の思い出。道具は、長いひもと短い棒、竹ザル。それに、スズメをおびき寄せるための米少々。

雪の上に米をまく。その上に竹ザルを置き、片側を棒で支える。棒には家の中にまで伸びる長いひもが結ばれている。米を目当てにスズメがやって来るのを、家の中からただひたすら待つ。スズメが現れ、ザルの下に入ると、ひもを引いて棒を外す。竹ザルがばさっと下りてスズメが閉じ込められる――という次第。今はむろん、そんな“悪さ”はしない。

スズメだけではない。ヒヨドリも今の時期はえさ探しに必死だ。なかでもお目当ては畑に残る白菜、キャベツなどの葉物。

夏井川渓谷にあるわが菜園には、葉物は残っていない。というより、秋野菜を栽培しなかった。だから、ヒヨドリに腹を立てることも、泣かされることもない。が、まだ青物を畑に残している家では、たまったものではないだろう。キャベツがついばまれて“壺”のようになる。それが嫌で青物や南天の実にネットを張ってヒヨドリの襲来を防ぐ人もいる。

事故か何かで死んだヒヨドリが1羽、畑につり下げられていた=写真。近くの木の枝で、別のヒヨドリが「ヒーヨ、ヒーヨ」と鳴いていたのはたまたまだろう。なにか哀れを催す光景だった。

ヒヨドリが畑の青物を狙うのは、冬が深まった証拠。冬が深まれば季節は春に向かって歩み出す。

そのきざしの一つが雄のキジの鳴き声。おととい、川辺の枯れヨシ原の上を飛び渡ってサイクリングロードに着地する雄のキジの姿を見た。別の雄も同時に飛び渡り、別の場所に姿を消した。縄張り争いかと思ったが、鳴き声は鶏に近い「ゲグッ」だった。雄キジに春機が発動するのはもう少し先のようだ。

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