2010年3月6日土曜日

ウグイス初音


きのう(3月5日)は朝方、雨が上がったと思ったら、一気に青空が広がり、気温が上昇した。9時すぎ、灯油のヒーターを止め、窓と戸を開ける。夕方までそのままにしておいた。

陽気に誘われて庭へ出る。地面に目を凝らす。20年以上前、伐採木の下敷きになっていたカタクリを2株ほど掘りとって移植した。高さ2センチメートルほどの、赤い“こより”が地面からのぞいていた。カタクリの葉っぱだ。地温は確実に上がっている。

午後遅く、散歩に出た。前日まで羽織っていた防寒コートの代わりにトレーナーを着る。それでも、夏井川の堤防を歩いていると汗ばんできた。きょうは啓蟄だが、人間にはきのうが啓蟄だったのだろう。見たこともないカップルが歩いていた。顔なじみのおばさんも杖をついて歩いていた。

野焼きによって黒い地肌を見せている堤防の土手が、一部淡い緑に染まっていた。カンゾウが芽生えていた=写真。対岸から聞き覚えのあるさえずりが耳に届く。かぼそい声だ。「ホー」「ホーロー」「ホーケキョ」。ウグイスの初音である。この暑さだ、春機が発動しないはずがない。

家に戻って子どもに電話をした。用が済んだあとに、「間もなくいわきの上空を国際宇宙ステーションが通過する」という話になった。

2階のテラスに出て南西の空を見つめる。青空は既に墨を流したように薄暗い。電線に止まっていたジョウビタキの雌が、しばらくすると隣家の庭の方に姿を消した。そこがねぐらか。アブラコウモリが不規則に飛び回っている。ハクチョウが3羽、音もなく東から西へ飛んで行った。

6時1分。宇宙ステーションがいわきで見える時間になった。遠近の切り替えが容易でなくなった目には、ステーションの航跡がよく分からない。

ちょうど真上に来たとき、光の点が静かに北西へ飛んで行くのが目に入った。太陽光線を浴びているので、肉眼には光点に見えるのだ。流れ星よりはむろん遅いが、ジェット旅客機よりは断然速い。動きはやはり人工的というほかない。

いろいろあった「暑い春」の一日から一転して、きょうは「寒い春」に逆戻りしそうだという。ウグイスの気持ちもしぼんでしまう、というものだ。

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